眞島秀和が語る、『破戒』が描く差別問題と縁を大事にする生き方

Rolling Stone Japan vol.19掲載/Coffee & Cigarettes 37| 眞島秀和(Photo = Mitsuru Nishimura)

音楽、文芸、映画。長年にわたって芸術の分野で表現し続ける者たち。本業も趣味も自分流のスタイルで楽しむ、そんな彼らの「大人のこだわり」にフォーカスしたRolling Stone Japanの連載。島崎藤村の『破戒』が60年ぶりに映画化される。主人公・丑松(間宮祥太郎)が心酔する猪子を演じたのは、映画・ドラマ・舞台で活躍する俳優・眞島秀和。物語に厚みを与える存在感。その背景にあるものを探った。

Coffee & Cigarettes 37 | 眞島秀和

明治の小説家、島崎藤村による不朽の名作『破戒』が60年ぶりに映画化される。

信州小諸城下の被差別部落に生まれた主人公・瀬川丑松は、その生い立ちと身分を隠して生きるよう父から「戒め」を受けて育った。成人し、小学校教員となった丑松は同じく被差別部落に生まれた解放運動家・猪子蓮太郎に感銘を受け、次第にその自由な生き方に感化されるようになっていく。父の「戒め」と、「人間はみな等しく尊厳をもつものだ」という猪子の言葉との狭間で激しく揺れ動く丑松。やがて訪れる忌まわしい「事件」をきっかけに、彼は教職を賭したある決意をすることとなった。

「明治時代の古典文学が原作であり、これまでに何度も映像化された由緒正しい作品ですので、オファーをいただいた時はとても光栄に思いました。『ぜひ参加したい』とすぐに返事をしましたね」

これまで木下恵介や市川崑など名だたる巨匠たちがメガフォンを撮り、映像化してきた『破戒』。令和版の主演を務めるのは、映画『東京リベンジャーズ』やTVドラマ『ファイトソング』などで注目が集まる間宮祥太朗だ。そして、丑松が心酔する猪子蓮太郎役に抜擢されたのは、眞島秀和。1999年の映画『青/chong』(監督:李相日)の主演でデビューを果たし、以降は映画やドラマ、舞台など幅広い分野で活躍。社会現象化したドラマ『おっさんずラブ』など話題作に数多く出演し、人気バイプレイヤーとしての地位を確立してきた人物だ。



映画の中では後半に登場する猪子。登場回数は少ないが、その圧倒的な存在感で物語を推進させていく。理不尽な差別や嫌がらせを受けながらも正々堂々と「出自」を公表した態度は、教育者・大江礒吉がモデルであるという説が有力であり、これまでも滝沢修や三國連太郎といった、日本映画界を代表するスターが演じてきた。

Photo = Mitsuru Nishimura Hair and Make-up = Yuuka Saeki

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