マルーマ日本初インタビュー レゲトンとルーツへの誇り、マドンナやJLoとの共演を語る

マルーマ

 
1994年にコロンビアで生まれたマルーマ(Maluma)は、これまで1800万枚以上のセールスを記録してラテン・グラミー賞を獲得。2017年の世界ツアーでは計100万人以上を動員して「世界で最もチケットが売れたラテン・アーティスト」に認定されるなど、ラテンポップ界の若きカリスマとして名を馳せてきた。さらに、今年4月に日本公開された映画『マリー・ミー』ではジェニファー・ロペスの恋人役として初の映画出演も果たし、最新アルバム『The Love & Sex Tape』ではアーバンなレゲドン・グルーヴを追求。そんな現代屈指のポップスターとの日本初インタビューがここに実現した。


―あなたは日本に関心を抱いていると伺ったんですが……。

マルーマ:そうだね。

―きっかけは何だったんでしょう?

マルーマ:僕は日本のカルチャーに関するあらゆることが好きだから、もしかしたら前世では日本人として生まれたんじゃないかと思うくらいなんだ。君たちの規律正しさも好きだし、食べ物も大好きだし、習慣も好きだし、人との接し方も好きだし、ファッション業界も好きだし、素晴らしいよね。そんなわけで、これまで長年日本に行きたいと思っていたのに、なかなか実現させられなくて、悲しかったんだ。それがここにきてようやく現実味を帯びてきたから、そっちに行ったら、ファンのみんなと共に時間を過ごしたいね。

―来日したら、まず何をやりたいですか?

マルーマ:そうだな、日本のお刺身は世界で最高級だと聞いたから、まずは空港から食事に直行だね(笑)。

―そのあとでショッピングに出かける、という感じですね。

マルーマ:ああ、もちろんショッピングも。でもショッピングに行く前に、おなか一杯にしておかないとね。そうすれば気分もアガるから(笑)。


「Nos Comemos Vivos」のMVでは日本語で書かれたネオンが登場するなど、日本のストリートを意識した内容になっている

―今年はあなたにとって、話題目白押しの1年になりつつありますね。俳優デビュー作の映画『マリー・ミー』が公開され、独自のフレグランスとアパレルのブランド“Royalty By Maluma”をローンチし、プロダクション・カンパニーを設立しただけでなく、『The Love & Sex Tape』を発表し、ツアーを再開……と。パンデミックを経て、盛大なカムバックを密かに計画していたんですか?

マルーマ:そうだね。パンデミックが始まってからの僕は、エネルギーを蓄積していたんだよ。何しろ、取り組みたいプロジェクトがたくさんあったからね。パンデミック中に多数の曲をレコーディングし終えていたし、パンデミックが終わり次第もっと音楽をリリースしたかった。そして自分のブランドを始めて、独自のフレグランスや、メイシーズと一緒に企画したアパレルのコレクションを準備していたし、財団の活動もある。僕は故郷であるコロンビアのメデジンを拠点に素晴らしい財団を主宰していて、地元の子どもたちの支援に当たっているんだよ(注:財団名はEl Arte de los Sueños/恵まれない環境で育った子供たちに音楽を通じて自己表現する機会を提供している)。こういう大規模なプロジェクトの数々を実現させるために、エネルギーを貯めていたから、今こうしてどんどん形にしているのさ。僕は起業家としての自分を確立しているところで、それが実現しつつあるというのはうれしいことだね。今は最高の気分だよ。僕にはたくさんのプロジェクトや夢があるけど、自分が正しい道を進んでいると感じるんだ。ハードワークに勤しんでいて、まだ若いし、これからもまだまだ掘り下げたいことがあるからね。

―このように次々に新しいプロジェクトに取り組む原動力は、どこにあるのでしょう?

マルーマ:僕はアートが大好きなんだよ。とにかくアートが大好きで、僕がやることは全てアートに溢れているんだ。毎朝目を覚ますと、一日中いろんな異なるコンセプトを思い浮かべたり、様々な曲について考えたり、アパレル・コレクションのデザインを考えたりしている。僕の頭の中はアートのことで一杯で、そこにたくさんの情熱を傾けているし、最大限に活かしたいんだ。僕にはたくさんの夢が、たくさんの個人的な夢があるけど、今はとにかく成長し続けたい、僕に一番訴えかけるものを作っていきたいと思っているんだ。



―先月登場した最新アルバム『The Love & Sex Tape』について伺います。まだ聴いていない人に、どんな風に紹介しますか?

マルーマ:レゲトン満載のアルバムだよ。こういうレゲトンは、コロンビアにある故郷の町メデジンで、僕が子供時代に最初に聴き始めた音楽なんだ。そして16歳か17歳の時にマルーマとして活動を始めた時にもこういう音楽をやっていたんだけど、それがちょっと恋しくなったんだよね。何しろ僕は古典的なレゲトンの大ファンだから。過去の自分のアルバムを振り返ってみると、中にはすごくポップな志向の作品もあったよね。当時は、多くの人に受け入れられるサウンド、多くの人に受け入れられる曲を作ろうとしていた。だから今回のアルバムでは、例えば車に乗っている時にかけたい音楽、家で友達とわいわいやっている時にかけたい音楽を作ったんだ。そんなわけで、このアルバムから聴こえるのはピュアなレゲトン、ピュアなストリート・サウンドなんだよ。

―タイトルはどんな考えで選んだのですか?

マルーマ:そこにはマーケティング的な側面もあるんだけど、コロンビアで暮らしていた時の僕にとって、それがまさにストリートで日々体験したことであり、ストリートのフィーリングなんだ。時代は大きく変わったわけだけど、若い頃の僕らは、ストリートで魅力的な女の子たちと遊んでいて、色んなことについてお喋りをしていたのを覚えているよ。本当に自由だった。ラテン・アメリカ出身の僕らのモノの考え方はすごく自由なんだ。そんな、ストリートでの日々というコンセプトをアルバムに落とし込んだのさ。だから『The Love & Sex Tape』というタイトルを選んだんだ。今の若い男の子たちがどんな風にストリートで生きているのか、伝えたかったんだよ。



―本作が好例で、あなたは曲の中でもMVの中でも、情熱的で、かつセンシティブな面も備えたモテ男的な男性像を打ち出してきました。どこまでリアルなあなたを反映しているのですか?

マルーマ:僕は自分自身の人生においても、音楽においても、すごくリアルな人間なんだ。とにかく、みんなに、“マルーマ”という名前の背後にいるフアン・ルイス(注:マルーマの本名。フアン・ルイス・ロンドニョ・アリアス)がどういう人間なのか見せようとしているんだよ。それが最も重要なことだね。なぜって、何か仮面をかぶってストリートに行って、家に帰ったらそれを外す――みたいないうことはしたくない。そんなことをしていたら、くたびれてしまうよ。僕はただ、自分が好きなことをやりたいんだ。そういうありのままの僕を人々が愛してくれるならうれしいし、そうじゃなかったとしても、それはそれで構わない。誰からも愛されるというのは無理なことだからね。ありのままの僕を受け入れてくれるなら、本当にありがたいことだよ。全てにおいて僕はそんな風に考えている。アパレルのコレクション、フレグランス、家族や友達との関係、音楽、あらゆる面で、とことんリアルであることにこだわっているんだ。

 
 
 
 

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