マハラージャンが語る、歌の中の世界を豊かにするための方法

ーさっきシンセの話が出ましたけど、4曲目「君の歯ブラシ」はエレピ?

エレピですね。シンセは入ってないです。「君の歯ブラシ」は、なるべく音数を減らしたいと思っていたんですね。音数を減らすと1個1個の楽器の存在感が増すので。シンセは好きなんですけど、この曲に入れちゃうと他のものがマスキングされちゃうなって。



ー「君の歯ブラシ」の前に収録されている「その気にさせないで」でも「歯ブラシ」というワードが出てきて、繋がっているような印象を受けます。

よくお気づきになられましたね。実はMVが2曲とも公開されるんですけど、どちらも峯岸みなみさんにご出演いただいてまして、2作は繋がった話になっているんです。「その気にさせないで」が恋の楽しさとかを歌った曲なんですけど、そこで出会った2人が最後「君の歯ブラシ」のように別れてしまう。そこをMVでも関連して作っております。

ー〈磨くよ便器〉って歌詞がありますけど、たしかにそういうことあるのかもなって。

あ、磨きました?

ー磨いてないです(笑)。

まだ磨いてないですか。

ー1曲目「正気じゃいられない」がアルバムタイトルにもなっていますけど、ホーンが入り、ミステリアスかつダイナミックな展開で疾走感もあるインパクトのある曲ですよね。

もともと僕はビッグバンドが大好きで、小学校の頃から吹奏楽部をやっていたんです。高校の頃にジャズとかいろいろ聴く中で、ビッグバンドの中でトランペットを僕はやりたくて。結局できなかったんですけど、その想いもありました。攻めた曲調のビッグバンドが好きだったので、この機会に作ろうと思って作らせてもらいました。ホーンアレンジだけサックスの竹上良成さんに手伝ってもらっているところもあるんですけど、基本的には自分で作っています。

ー耳馴染みがいいというか、違和感もありつつ、ホーンでここまでゾクゾクするなっていうのは「古畑任三郎」以来というか、すごいなと思いました。

「古畑任三郎」の曲も、これしかない!っていう唯一無二感があるじゃないですか? なるべくそういうものが作りたかったんです。こういう曲調で「正気じゃいられない」ってタイトルのものって、あまりないと思うんです。ないものができたよなと思っています。

Rolling Stone Japan 編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE