Kroiが語る、独創性の中に秘めた「音楽の本質」

Kroi:左から関将典(Ba)、千葉大樹(Key)、内田怜央(Vo)、益田英知(Dr)、長谷部悠生(Gt)(Photo by Mitsuru Nishimura)

2022年の要注目バンド、Kroi。「Rolling Stone Japan vol.15」(2021年6月発売)に登場してもらってから約1年の間、彼らは自分たちのルーツにあるロック、ヒップホップ、ソウル、ファンクなどをベースにしながら、J-POPの型といわれるようなリズム、メロディ、演奏、音像からは遠く離れたところで、ますます自由に音楽の中で遊び続けている。そんなKroiの新鮮なサウンドは世に歓迎され、車のCMやドラマのオープニングなどテレビからもひっきりなしに流れて、業界内でも高い評価を得ている。Kroiの受け入れられ方を見ていると、やはり今の日本の音楽シーンは面白い時代にあると思わせてくれる。

【写真】メンバーのソロカット

今回の取材では、「国際ファッション専門職大学」のCMソングとして書き下ろしたKroiの新曲「Pixie」について聞いた。この曲がテレビから流れてきたとき、私は思わず笑ってしまった。メロディはキャッチーでありながらも、その後ろでこれほどまでに楽器たちが暴れている音楽がテレビのCMから流れてくることに痛快な違和感があったからだ。彼らの代表曲のひとつである「Balmy Life」がスーパーで流れてきたときも、その前後に流れたJ-POPにはない音色やフロウが突然飛び込んできて、そしてサビでは買い物カゴを持ちながら身体を揺らして口ずさんでしまうようなキャッチーさが訪れることに、いつも楽しい違和感を覚えていた。

注目を集めるKroiの現在の立ち位置を明確にするために、彼らを少しヒリヒリさせてしまう質問も投げさせてもらった。しかし、5分に一度は笑いが起きるのがKroiのインタビュー。とにかく常に面白いことを追い求めて、真面目にふざけることを大事にしている5人だからこそ、こんなに自由で遊び心が溢れた音楽を生み出すことができるのだ。



―Rolling Stone Japanでは約1年ぶりの取材です。当時リリースした1stメジャーアルバム『LENS』やリード曲「Balmy Life」は高い評価を得た作品だと思うのですが、自分たちではどう受け止めていますか?

関(Ba):「Balmy Life」に関していえば、ラジオのパワープレイをかなりたくさんいただいたり、街中で自分たちがふとしたときに聴く場面も多かったりして、今まで自分たちが出してきた作品の中では圧倒的な数の反応をもらえた作品だなとは自分たちなりにも感じるところですね。『LENS』はそれをリードにしたアルバムで、且つ、Kroiとして初めてのアルバムというところもあって、かなり気合いが入っていたので思い入れの深い作品になりました。

長谷部(Gt):今でいうと「Balmy Life」がうちらの中で一番聴かれてる曲だと思うし、「Kroi」と調べたときに最初に聴く人が多い曲なのかなと思うんですけど、自分たちの名刺代わりになるような一曲としては一番いい形で世に出せたんじゃないかと思ってます。



―うちの近所のスーパーでもいつも「Balmy Life」が流れていました。しかもあの曲が、それだけ街中で鳴っていたということがすごいですよね。

内田(Vo):時代がいいなって。生きている今がすごくいい時代になってきているなとは感じましたね。いろんな人に聴いてもらいたいという想いで作っているので、自分たちが持つキャッチーな部分をしっかりとリード曲に落とし込んで表現しているんですけど、まさにああいう曲をみんなが聴いてくれるというのは――半分信じてはいたんですけど、半分疑っていたところもあって――「未来、明るいな」みたいなことが見えましたね。

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