THE 2の古舘佑太郎と加藤綾太が語る、「過去を未来で肯定する」ために

THE 2:左から森夏彦(Ba)、古舘佑太郎(Vo)、加藤綾太(Gt)、歌川菜穂(Dr)

2021年6月、メンバーの脱退により一時バンドの準備期間を迎えた「2」。同年11月、公式サイトでは謎のカウントダウンが始まり、2022年2月22日、ベースに森夏彦(ex. Shiggy Jr.)、ドラムに歌川菜穂(ex. 赤い公園)を迎え、バンド名も新たに「THE 2」が始動。それぞれのメンバーがそれぞれの「音楽人生の“エピソード2”」をスタートさせた。

バンドの再始動を飾るのは、サカナクション山口一郎をトータルプロデューサーに迎えたデジタルシングル「恋のジャーナル」。リリース早々、巨大な顔のマスコット“メガフルタチ”が街に出没するなど、各所に仕込んだ仕掛けが話題を呼んでいる。

「出会い」と「別れ」然り、相反する2つのものから生まれるものは、それまでにない新しい何かだ。この日話を伺ったボーカルの古舘佑太郎(ex. The SALOVERS)とギターの加藤綾太(ex. ポニーテールスクライム)の話から、そんなことを考えた。



・ライバルだった仲間と再始動したTHE 2

—まずは再始動に至った経緯を教えてもらえますか?

古舘:2のベース・赤坂真之介とドラム・yuccoの2人が卒業したタイミングで、これから新たなバンドを再構築していくために、2を一度完結しておきたいと思ったんです。2人(古舘と加藤)の性格的にもあんまり潜るのは得意じゃないんですけど、初期2は僕らにとって大切な存在だし、新しくバンドを組み直すぐらいの気持ちで、思い切って活動休止を選びました。「こっからの2は2であって2じゃない」って気持ちで。それがバンド名に「THE」がついた理由にも繋がってくるんですけど。そこから森夏彦と歌川菜穂っていう、僕らにとって10代の時からのライバルみたいな存在の2人と組むことになって。メンバー4人それぞれがそれぞれのバンドで、時にバチバチしながら切磋琢磨してきた仲間で、実は20代半ばで僕がまだソロをやってた時に、その4人でバンドやれたらいいなって、1回結束しかけてたんです。でも2人も他のバンドが忙しかったし、結局すぐ頓挫しちゃって、幻で終わってた過去もあったんですよね。それで今回2で空いてる席がベースとドラムだったんで、その2人しか考えられないと思って声をかけました。

—同世代の他のバンドとは当時どんな関係性だったんですか?

古舘:僕が10代後半の時とかは、鬼尖りしてて、多分めちゃくちゃ態度悪かったです(笑)。みんなに申し訳ないって謝って回りたいぐらいの態度をとってたと思います。

加藤:米咲ちゃん(赤い公園)がキレてたって言ってましたよ。何あいつ、って(笑)。

古舘:そうそう。嫌なことするとかじゃないんですけど、愛想よく喋りかけられても愛想よく返せなかった。でも20代後半でみんないじってくれるようになったんで、当時の人たちとは仲良くなれてよかったですけど。当時はみんなも尖ってたし、僕もそうでしたね。仲良く和気藹々となれたのは、20代を超えてから。みんなちょっとしんどいこととかいろんな紆余曲折があって、バンド続けてるだけでも頑張ってんなって仲間意識が出てきたんですよね。

—以前別の媒体で古舘さんにインタビューした時に、『くるりのこと』っていう本の話をしていただいたんです。そのときに、圧倒的に才能の人だと思っていたくるりも、努力して変化しながらバンドを続けていることに衝撃を受けたって話をされていて。THE 2にも、変化しながら続けていくエネルギーってところで通じるものを感じました。

古舘:もちろんやめるのも続けるのもエネルギーが必要だと思うので、どっちもすごいなと思いますけど。でも僕が1番好きなバンドがくるりだったので、くるりの、“アルバムごとに変化していく”っていう、ジャンルレスな部分には影響を受けてるんだなって今思い出しましたね。だから僕、「ロックバンドなんですか?」って言われるのに昔から違和感があって。どう考えてもギターロックだし、否定するのもめんどくさいから「はい」って言ってるけど、ぶっちゃけ内心、照れくさいっていうか。The SALOVERSの時とか、ただスキルがなくてギターロック一辺倒のことしかやれなかっただけで、早い段階からはみ出したかったのかもしれないです。

加藤:お互い前にやってたバンドは、手法が似てたんですよね。ギターの音がでかくて、うわーってがなる、みたいなのが根本にあったのかなって、最近やっと自分たちのことを見つめ直して気づきました。2の初期はそれが楽しかったんですけど、当然続けることへの飽きも来るし、どんどん壊していきたいって気持ちはお互い生まれていたんですよね。自分たちを変えるきっかけを作りたいとは前から思っていて、一郎さんから一緒にやっていただけるって話が出る前も、プロデューサーつけたいよねって話はしていました。

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