2022年グラミー賞総括、シルク・ソニックの快挙とジョン・バティステの逆転勝利

米現地時間4月3日にラスベガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナで開催された第64回グラミー賞授賞式で栄えある賞に輝いたシルク・ソニックとジョン・バティステ。 写真左から:Johnny Nunez/Getty Images for The Recording Academy; Christopher Polk for Variety

ブルーノ・マーズとアンダーソン・パークのユニット、シルク・ソニックの「Leave the Door Open」が年間最優秀レコードと年間優秀楽曲の主要2部門を受賞。ジョン・バティステは、ビリー・アイリッシュやオリヴィア・ロドリゴといった有力候補を押しのけて年間最優秀アルバムに輝いた。

第64回グラミー賞授賞式では、シルク・ソニックが年間最優秀レコードと年間優秀楽曲の2冠を達成した。その一方、ジョン・バティステが年間最優秀アルバムを受賞するという最大の番狂わせも起きた。

年間最優秀レコード、年間最優秀楽曲、最優秀R&Bパフォーマンス、最優秀R&Bソングの4部門にノミネートされたブルーノ・マーズとアンダーソン・パークによる唯一無二のレトロ・ソウル デュオ、シルク・ソニック。彼らは事実上、米現地時間4月3日に行われた第64回グラミー賞授賞式にてこの4部門をすべて制覇したことになる。それも「Leave the Door Open」という一曲のシングルで。年間最優秀レコードと年間優秀楽曲の受賞には少なからず驚かされた。というのも、「Leave the Door Open」の行く手には、オリヴィア・ロドリゴの「drivers license」、リル・ナズ・Xの「Montero (Call Me By Your Name)」、ドージャ・キャットft.シザの「Kiss Me More」といった手強いライバルが立ちはだかっていたのだから。だが改めて言っておくが、ブルーノ・マーズはグラミー賞を主催するレコーディング・アカデミーの寵児であり、過去17回のノミネートに対して14回の受賞という快挙を達成している。2014年には、『アンオーソドックス・ジュークボックス』が最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバムを受賞した。

その一方、最多11部門にノミネートされたジョン・バティステは、5つのトロフィーを手にした。その中でも『We Are』による年間最優秀アルバムは最大の栄誉だ。それに加え、「Cry」が最優秀アメリカン・ルーツ・パフォーマンスに、「Freedom」が最優秀ミュージック・ビデオに、さらには映画『ソウルフル・ワールド』のサウンドトラックが最優秀映像作品スコア・サウンドトラックに輝いた(トレント・レズナーとアッティカス・ロスとの共同受賞)。

デビューアルバム『Sour』の圧倒的な人気によって2022年のグラミー賞の大本命と目されていたオリヴィア・ロドリゴも手ぶらで授賞式会場を後にしたわけではない。ロドリゴの「drivers license」は最優秀ポップ・パフォーマンス(ソロ)を受賞し、彼女自身も最優秀新人賞に輝いた。その上『Sour』は、最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバムも受賞した。

ほかにも栄えある賞に輝いたアーティストには、最優秀ポップ・パフォーマンス(グループ)に輝いたシザとのコラボ曲「Kiss Me More」で自身初のグラミー賞を獲得したドージャ・キャット、過去12回のノミネーションを経て念願のトロフィーを手にしたジャズミン・サリヴァンなどが含まれる。高評価を集めているサリヴァンのLP『Heaux Tales』は最優秀R&Bアルバムを、「Pick Up Your Feelings」は最優秀R&Bパフォーマンスを獲得した。

(グラミー賞トリビア好きのために興味深いことを記しておこう。奇しくもバティステとサリヴァンは今年、ふたつの珍しい出来事に関わっていた。サリヴァンがシルク・ソニックの「Leave the Door Open」とともに最優秀R&Bパフォーマンスにノミネートされる一方、バティステ、レズナー、ロスは配信ドラマ『クイーンズ・ギャンビット』の楽曲を手がけたカルロス・ラファエル・リベラとともに最優秀映像作品スコア・サウンドトラックを分かち合ったのだ。)

Translated by Shoko Natori

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