米ニュース出演のトランプ前大統領、プーチンへの直接的非難を避ける「ただ気が合うだけ」

2022年2月26日、米フロリダ州オーランドで行われた保守政治行動会議(CPAC)で演説するドナルド・トランプ前米大統領(Photo by AFP via Getty Images)

米FOXニュース司会者のショーン・ハニティー氏の番組に現地時間10日にトランプ前米大統領が出演。ロシアのプーチン大統領についてコメントを求められた。

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「(ウクライナ侵攻に関して)ウラジミール・プーチンは聡明だと発言したことで、あなたもいささか非難されました」とハニティー氏。「私はメディアの大半の人間よりは多少あなたのことをわかっているつもりです。あなたも彼が悪人だと認めますよね?」

トランプ氏はこの質問を無視し、自分がプーチンを聡明だと言ったのは、分離派が支配する東部ウクライナの地域に戦車を送り込んだことを指していたのだ、と語った。「私が相手にしていた頃のプーチンとは別人のようだ」と、トランプ氏はかわした。「だが言わせてもらえば、私が相手だったら彼も変わっていなかったはずだ。そもそも私が……巷でジャベリンと呼ぶ対戦車ミサイルを供給した。あれがなかったら、今のようにはいかなかっただろう。あれは戦車を次から次へと叩きのめしている」

トランプ氏が言うジャベリンは議会で承認されたウクライナへの軍事支援の一環で供給されたが、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領に無理やりジョー・バイデンの粗探しをさせようとしたトランプ氏は一時的に供給をストップした。これがのちに1回目の弾劾裁判のきっかけとなった。

ハニティー氏はプーチンを非難するようトランプ氏に迫り続け、プーチンへの誉め言葉は本心ではなく、親しい友よりも敵を味方につけておく方が最善だ、という格言から取ったまでだ、という説を展開した。「そのようにヴラジミールをとらえていたんですよね?」とハニティー氏。「ヴラジミール・プーチンや習近平、金正恩、イランのイスラム法学者といった敵は、そばに置いておく必要があるとお考えだったんでしょう?」

「こういう連中とは気が合った」とトランプ氏は返答した。「すごく馬が合ったんだよ。だからといって、奴らが善良というわけじゃない。ただ、私は彼らのことを理解できるというだけの話だ。おそらく向こうも私のことを理解していただろう。ひょっとすると彼らのほうがよくわかっていたかもしれない。それも結構」

トランプ氏はしばらくこういった話を続けたが、再びハニティー氏が尋ねた。「彼らが悪事を働く可能性については理解していましたか?」

これに対してトランプ氏は、バイデン大統領に侵攻の責任を転嫁する形で答えた。「プーチンはロシアの味方だ。今の状況を見たまえ」とトランプ氏。「これもすべて、我が国の指導者が彼らから蔑ろにされていたせいだ」



ウクライナ侵攻が始まって以来、トランプ氏はバイデン大統領を腰抜けだと叩いているが、自分ならどうやって状況を収めたかについてはお茶を濁している。トランプ氏はプーチンにとって不利な状況であることをつらつら述べた末に、「事態は良くなる前に悪化するだろう」と述べた。だがその途中で、バイデン大統領は核兵器による壊滅をちらつかせてプーチンを脅すべきだ、とも語った。「演壇に上がるたび、バイデンは彼らが核保有国だと言うが」とトランプ氏。「我々も核保有国であることを口にするべきだ……我々も戦争は望まないし、ロシアを壊滅させたくはないが、こういう風に話をするべきだ」

唯一他に戦略らしきものがトランプ氏の口から出てきたのは、アメリカが中国の戦闘機を装ってロシアに爆弾を落としてはどうか、というものだった。

from Rolling Stone US

Translated by Akiko Kato

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