トム・ヨーク率いるザ・スマイル、UK最先端とも共振する「破格のライブ」を総括 

ザ・スマイルのライブ写真(Photo by Wunmi Onibudo)

レディオヘッドのトム・ヨークとジョニー・グリーンウッド、サンズ・オブ・ケメットのトム・スキナーによる新バンド、ザ・スマイル(The Smile)が1月29日と30日にマガジン・ロンドンで3連続のライブを開催。「The Smile: Live Broadcasts」と銘打って全世界同時配信も行われたステージの一部始終を、気鋭のライターs.h.i.が総括。

【画像を見る】「The Smile: Live Broadcasts」ライブ写真(全11点・記事未掲載カットあり)

本当に素晴らしいライブだった。会場は収容人数7000人のMagazine London全着席制(席間なし)、センターステージを囲む360度観覧形式。3セットそれぞれの開始時刻(現地時間)は午後8時・午前1時・午前11時で、仄暗いステージに時々カラフルな照明が映える装いは深夜~朝方の気怠いテンションに実に良く合っていた。


Photo by Wunmi Onibudo

セットリストは以下の通り。

ウィリアム・ブレイクの詩「The Smile」の朗読音声とともに入場
1. Pana-vision
2. The Smoke
3. Speech Bubbles
4. Thin Thing
5. Open The Floodgates
6. Free in the Knowledge
7. A Hairdryer
8. Waving a White Flag
9. We Don’t Know What Tomorrow Brings
10.Skirting on the Surface
11.The Same
12.The Opposite
13.You Will Never Work in Television Again

アンコール
14. Just Eyes and Mouth
15. It’s Different for Girls(ジョー・ジャクソンのカバー、2nd・3rdセットのみ)

このうち8曲は昨年5月22日のグラストンベリーにおける事前録画ライブ(曲順は10・2・13・12・1・14・9・4)で演奏、6曲目は昨年末のLetters Live at Royal Albert Hallでトム・ヨークのソロパフォーマンスが披露済み。4曲(3・7・8・11)は最初の有観客ライブとなる今回が初出、5はヨークのソロライブ、10はレディオヘッドのライブでは以前から演奏されていた未発表曲である。自分は3rdセットを観たのだが、どちらかといえば勢い一発で押し切る印象のあったグラストンベリーに静かなパートを大幅に加え、全体の流れを良くした感じの構成が見事で、グループとして格段にこなれた印象があった。

本稿では、今回のパフォーマンスを踏まえつつ、昨今のシーンにおけるザ・スマイルというバンドの存在感について簡単に掘り下げてみたい。

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