狂気のマリリン・マンソン、ミュージックビデオ撮影時に「本番」強行か

左が女優のエヴァン・レイチェル・ウッド、右がマリリン・マンソン 2007年撮影(Photo by Eric Charbonneau/Wireimage)

マリリン・マンソンの元恋人、女優エヴァン・レイチェル・ウッドが過去にマンソンから性的虐待があったことを2021年2月に告発。ウッド以外の被害者たちも名乗り出てこの事件は大きな注目を集めた。そんな彼女の人生を追ったドキュメンタリー映画『Phoenix Rising』が、サンダンス映画祭でプレミア上映された。作品の中でウッドは、マンソンの「Heart-Shaped Glasses」のミュージックビデオに出演した際、「(撮影中にマンソンから)性行為を強要された。あれはカメラの前でレイプされたも同然だ」と主張した。

【動画】ビデオにはウッドが苦悶の表情を浮かべるシーンも

2007年に公開された「Heart-Shaped Glasses」のミュージックビデオで、マンソンは当時19歳だったウッドにハート型サングラスをかけさせた。未成年の少女に恋する男を描いたウラジミール・ナボコフの小説を原作に、スタンリー・キューブリックが1962年に監督した映画『ロリータ』のポスターと酷似している。「(サングラスは)とても象徴的だ。ユーモアのセンスがある人と出会ったことで、OK、実際どうかはさておき、世間は『ロリータ』系の友情/恋愛関係をおもしろがるだろう、と思ったのさ」とは、2007年にマンソンがスピン誌に語った言葉だ。

ビデオでは、血のりの雨が降り注ぐ中でマンソンとの激しい絡みが出てくる。

「あんな風になるなんて全く思っていませんでした」。ウッドはドキュメンタリーの中でこう語っている。「私が聞かされていた話とは違っていました。話し合いでは、行為しているフリををすることになっていましたが、いったんカメラが回り始めると彼は本当にしてきたんです。私は決して同意していなかったのに……完全にカオス状態でした。私は身の安全を感じられなかったし、私を気にかけてくれる人は誰もいなかった。あのビデオ撮影はトラウマに残る経験でした。私は口答えしないよう条件づけられ、しつけられていたので、自分を弁護する術も、嫌だという術もなく――とにかくじっとやり過ごすしかありませんでした。胸がムカムカしました。恥ずかしいことをしたと思ったし、撮影クルーも居心地悪い思いをして途方に暮れているのがわかりました」

当時ビデオの撮影現場にいたクルーの1人にローリングストーン誌が接触したところ、彼もウッドの主張を裏付けた。報復を危惧して匿名を希望したこの人物は、「たしかに、何度か実際に性行為があったと思います」とローリングストーン誌に語った。「クルーも非常に気まずい思いをしました」。この人物によれば、1~2テイク撮影した後、マンソンとプロデューサー陣および撮影クルーとの口論がエスカレートしたため、絡みのシーンの撮影は終了したそうだ。

「自分たちがどんなアーティストを相手にしているか全員が理解していました。でも僕らはポルノを撮影しに来ているわけじゃない」と彼は言った。「僕のキャリアの中で、こんなことに遭遇したのは後にも先にもありません。現実には絶対にありえませんよ。こんなことが起こるのはポルノ業界だけです」。さらにこの人物は、ウッドが「心ここにあらずで呆然としていたようだった」が、「総体的にはとても陽気だった」と付け加えた。

「2人が撮影したのはかなり濃密なシーンでした。2人とも息がぴったりでした」と言う別のクルーは、性交が実際にあったかどうかはわからないと言う。「キャストもクルーもみな蚊帳の外でした。周りにいた私たちがなんとなく気まずくなったのも、そのせいです」

Translated by Akiko Kato

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