妻を射殺したDV男、SNSでは「アル・パチーノのモノマネ」で有名人だった 米

2021年10月25日(月)、米カリフォルニア州サンディエゴ中央裁判所で、殺人罪2件罪状認否を行うアリ・アブラバン被告(©Jarrod Valliere/San Diego Union-Tribune/ZUMA)

米サンディエゴの高級マンションで妻と男性1人を射殺した罪に問われている「自称 インターネット界のトニー・モンタナ」。ソーシャルメディアでは90万人以上のフォロワーを誇ったアル・アブラバン被告の素顔とは?

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29歳のアブラバン被告は、寝室やバスルームの鏡で撮影した物まね動画をTikTokに投稿していた。フォロワー数95万5000人を誇る人気者だ。本人いわく、彼は『スカーフェイス』の主演であるアル・パチーノの物まねを得意とし――「インターネット界のトニー・モンタナ」を自称していた。

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また俳優のスティーヴン・バウアーに会って以来、Instagramにも画像を投稿していた。時には妻のアナ・アブラバンさんと一緒の動画も投稿し、妻のTikTokアカウントに登場することもしばしばだった。「パートナーで親友」というキャプションがつけられた2021年4月の動画では、2人はマンションの中を踊る姿が映っている。アナさんが笑いながら夫を見つめる中、アブラバン被告はカメラに向かって表情を作っていた。

しかしアナさんは夫と別れる準備を進めていたという。理由のひとつは2021年9月に起きたとみられる家庭内暴力事件で、夫から突き倒された後アナさんは警察に通報した。検察の主張によれば、アナさんは10月18日にアブラバン被告に家を出るよう頼んだ。被告は家を出てホテルに滞在したが、ひそかに合鍵を作っていた、と検察は見ている。

アブラバン被告は2021年10月21日に合鍵を使って侵入し、5歳の娘のiPadにアプリをインストールしてマンション内の会話をライブで盗聴できるようにした。その日アプリで男性の声を聞いた被告は車でマンションに向かい、中に入ってアナさんと一緒にいた男性、レイバン・バロンさんの2人を射殺した。アブラバン被告は殺人現場を離れた後、娘に「ママを傷つけた」と語ったという。

2022年1月7日に行われた予審では、射殺事件までの数カ月間に警察は9回も通報を受けて夫婦のマンションに急行した、とサンディエゴ警察の警察官が証言した。これらの通報で逮捕は一度も行われなかった。また予審ではアブラバン家の隣人も証言台に立ち、射殺事件の1カ月前にアナさんが玄関口に現れて、「アブラバン被告に殴られて携帯を取られた、警察に通報するのに電話を貸してほしい」と頼まれたと証言した。

検察の主張によれば、アブラバン被告は2021年10月21日に合鍵を使って侵入し、5歳の娘のiPadにアプリをインストールしてマンション内の会話をライブで盗聴できるようにした。その日アプリで男性の声を聞いた被告は車でマンションに向かい、中に入ってアナさんと一緒にいた男性、バロンさんの2人を射殺した。アブラバン被告は殺人現場を離れた後、娘に「ママを傷つけた」と語ったという。同日、警察がアブラバン被告を発見した際、
娘は被告と車内にいた。

予審で証言した警察官によれば、アブラバン被告は事件の後緊急通報し、自分が到着したときには2人はすでに死んでいた、と語った。だが留置所で行われたFOX5とのインタビューでは、家の中に入っていくとバロンさんとアナさんが「キス」している現場を見た、と語っている。妻を殺したのかという質問に対し、「それは聞くな。聞かないでくれ」と答えた。検察によれば、被告は警察と母親に対し、アナさんとバロンさんを射殺したと自供したという。アブラバン被告の公選弁護人にコメントを求めたが、すぐに返答は得られなかった。有罪になれば、アブラバン被告は死刑を求刑される可能性がある。

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from Rolling Stone US

Translated by Akiko Kato

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