DEAN FUJIOKAが語る、コロナ禍以降の“突然変異”

―1曲目が「Hiragana」、最後の曲が「Sekken」という共に抒情的な曲がアルバムの始まりと終わりに置かれていることがとても印象に残りました。この2曲にはどんな思いが込められていますか。

「Hiragana」を作ったきっかけは、自分が企画プロデュースする映画(「Pure Japanese」)とも関わってくるんですけど、もっと言うとアルバムを作っているときに大河ドラマ(「青天を衝け」)を撮っていたことなんです。大河では、当時の明治維新の偉人たちの姿を垣間見ながら、自分も五代友厚という役を演じているんですけど、役作りの中で、その時代の人たちの滾る思いを目の当たりにしていて。ふと1人になったときに、その偉人たち、とくに自分が演じた五代さんに関しては、「後世に対してこういうことを思っていたんじゃないかな?」ということを感じたんです。五代さんが夢枕に立って、「君はこういう曲を作りなさい」と言われているような気がして。当時は藩がたくさんあって、まだ日本という概念がなかったんですよね。そこから日本国という概念を作り出していった人たちが後世に何を残したかったのかって考えたんです。ひらがなって、もともと女性の言葉で、ひらがなを使うことイコール女性という文学の成り立ちですよね。だから、母国語を表すのには「Hiragana」というタイトルがピッタリだと思ったんです。自分が勝手に作った明治維新のインスパイアードソングみたいな感じです。これが1曲目に合うと思ったし、アルバムも1つの映画みたいなものだと思うので、1本の映画を作るとしたらこの曲順にすることで物語が一番重層的になると思って18曲を並べました。

―最後の「Sekken」は、どういうテーマで書いた曲ですか。

最近、新宿歌舞伎町の治安の問題とかがよくニュースになってるじゃないですか? 今、そういう経済の衰退とか貧困の問題とかが諸所に表れていると思っていて。そんな日常の一コマですかね。

―「History Maker 2021」は、2016年発表の曲ですが、今回THE CHARM PARKさんによる新たなアレンジで収録されていますね。どんなイメージで制作したのでしょうか。

曲が3拍子のワルツっぽいものからコモン・タイムに切り替わるというのはすごく大きな変化で。どっちにもその良さがあると思うんですけど、ライブではコモン・タイムの方がすごく映えるなと思ったし、自分の中でこの曲の可能性をもっと引き出したいという気持ちがずっとあったんです。それで今回CHARMさんにお願いして、タイムレスな曲に生まれ変わらせたいと思って、ストリングスをメインに活かすような形で作りました。

Rolling Stone Japan 編集部

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