ヤング・マーブル・ジャイアンツを構成する5枚 アリソンが語るポストパンクという青春

『Colossal Youth』ジャケット、写真中央がアリソン・スタットン


アリソンが自分の歌声を見つけるまで

―YMGに加入する前、あなたは何か音楽活動をしていましたか?

アリソン:曲作りは昔からずっとやっていた。両親に聞かせるために歌詞を書いていたけれど、他の誰かに聞かせることはなかったわ。学生時代にはカヴァー・バンドを組んでいて、その時に一緒にバンドをやっていたルイーズ・ポーターを通してスチュワートとフィルに出会ったの。ルイーズが、私をベッドルームから引っ張り出して、歌うように背中を押してくれた。YMGに加入するまでは、バンドのために曲作りをしたことはなかったの。

―カヴァー・バンドではヴォーカルをやっていたのでしょうか?

アリソン:そう。ルイーズと一緒に歌っていたの。彼女の歌声は私とは全然違ってとても力強かったけど、一緒に歌うのは楽しかったわ。ハモりを楽しんだりしていたのよ。

―若い頃から歌うことは好きだったんですね。

アリソン:ええ。とても楽しんでいたわ。

―あなたの抑制された歌声がYMGの曲に重要な役割を果たしていました。歌唱法や感情表現など何か意識していたことはありますか?

アリソン:自然にこういう歌声になったの。ヴォーカルとして歌唱トレーニングを受けていたわけでもないし、ただ自分の歌い方を続けている、という感じ。私の歌い方は、私自身のパーソナリティが反映されたものだと言えるかもしれないわね。この歌い方こそが、私自身を表現するものだから。



―あなたが惹かれるヴォーカリストがいたら教えてください。

アリソン:またジャズの話に戻るけど、ビリー・ホリデイやエラ・フィッツジェラルドといった真実の声を持つ人たちね。それと、ヴォーカリストとして認識している人は少数派かもしれないけど、ロバート・ワイアットの声がとても好き。ストーリーテラーとして説得力のある声を持っていると思うわ。イーノもとても良い声質だと思う。綺麗な声をしているし、彼もやっぱり、物語を語る人の声をしているわ。歌詞も素晴らしいと思う。ジョニ・ミッチェルもとても好きよ。彼女のように歌おうと試みたことが何度もあるの。それに、ラテンの女性シンガーの歌声にも惹かれるわね。それからトム・ウェイツにニック・ケイヴ。トム・ウェイツは荒々しい感じで物語ってくれるし、ニック・ケイヴはメロディと歌詞と歌い方のもコンビネーションが素晴らしいと思う。彼らは詩人と言ってもいいでしょうね。この辺にしておかないと、もうどんどん出て来ちゃって収集がつかなくなりそう(笑)。

―あなたが好きなシンガーは、ストーリーテラーとしての魅力を兼ね備えている人たちなんですね。

アリソン:そう思う。人と違った個性を持った、力強いヴォーカリストに多大な尊敬の念を抱いているの。そういうスタイルを確立するまでには、たくさんの経験が必要だと思うから。違ったバンドで、違うスタイルの曲を歌っていたとしても、聴いてすぐに「あの人が歌っている」とわかるような個性を持ったヴォーカリストが好きなのよ。流れるような流暢な歌い方には魅力を感じない。聴き流してしまうから。どこかひっかかりのある、人間らしい声が好き。その人が賛同出来ないようなことを歌っていても、どこか不快に感じるような歌い方でも良いと思うの。それがチクリと胸に刺さることで心に残るから。人間らしさ、泥臭さがあることで、生の声を聴いている感覚を呼び覚ましてくれるのよ。私はそういう歌声がとても好き。じっくりと座ってレコードを聴きながら、チクリと胸に刺さる瞬間が来るのを待ち受けているの。

Translated by Yumi Hasegawa

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