ヤング・マーブル・ジャイアンツを構成する5枚 アリソンが語るポストパンクという青春

『Colossal Youth』ジャケット、写真中央がアリソン・スタットン


「レインコーツに加入したかった」

―では、ここからは少しYMGについてお訊きしたいと思います。まず、YMG結成当時、あなたはパンク・シーンをどのように見ていましたか?

アリソン:パンク以来、音楽シーンでは本当に色々なことが起こっていると思うけれど、当時のパンク・シーンはとても劇的なものだったわ。カーディフやニューポートにパンク・バンドのライブを観に行ったけれど、若かった私にはとても刺激的だったわ。それまでに見たことがないような過激な服装やピアスや……まるで夢の国に迷い込んだみたいだった。主張の激しいヘアスタイルとかメイクとか、どこか芝居がかっているような感じでエキサイティングだったの。そこには荒々しいエネルギー、情熱、政治があった。若者が当時の政治に不満を持っていた理由はとてもよくわかるけど、私にはその男性的なパワーが痛々しくて強すぎるように感じた。だから、ライヴとして体験するのは面白かったけど、家でターンテーブルに乗せて聴きたい音楽ではなかったの。

―そんな男性的なパンク・シーンの中から、レインコーツやスリッツといった女性バンドが登場して独自のサウンドを生み出していきます。YMGの繊細で独創的なサウンドは、彼女たちの音楽に通じるところもありますね。

アリソン:YMGがラフ・トレードと契約してロンドンに行くことになって、ほかの所属アーティストともオフィスで会う機会があったの。レインコーツとはそこで出会って、一緒にライブをしたりもしたわ。私の地元のウェールズでは、カーディフ以外では女性シンガーはほとんどいなかったし、女性がインストの曲をやったり、メインのソングライターとして曲を書いているバンドはまったくと言っていいほどいなかった。だからメンバーが全員女性で、自分たちで曲を書いているバンドはすごく新鮮だったの。しかも、レインコーツはトラディショナルなロックではなくて、ほかとは全然違う音楽をやっていたでしょう? 彼女たちのサウンドは確固とした個性を持っていて、本当にエキサイティングで大好きだったわ。今すぐYMGをやめてレインコーツに加入したかったくらいだった(笑)。彼女たちがきっかけとなって、ジェフ・トラヴィスがYMGと契約を結ぶことになったと思っているの。



―スリッツも聴いていました?

アリソン:もちろん! 彼女たちが従来の女性アーティストの殻を破ってくれたと思っているのよ。当時の私は大人しくてシャイで、自分に自信がないタイプだった。そんな時に彼女たちをみて、『ワオ!』って思ったわ。何も恐れずに、堂々と前に出て行って、自分たちのやりたいことをやりたいようにやる。批判されることや拒絶されることを恐れない彼女たちの姿勢が、今の私の基盤になっていると思う。自分自身を鼓舞して、リスクを恐れないという考え方を与えてくれたのよ。YMGはある意味、リスクの大きいバンドだったと思うの。従来の枠からはみ出した静かな音楽をやっていたから。表現の形は違うけれど、スリッツと私たちは立ち位置が似ていたんじゃないかな。だから、スリッツのような勇敢なバンドには敬意を感じていたのよ。



―ミニマルで繊細で強靭、そんなYMG独自のスタイルはバンド結成時からヴィジョンとしてあったのでしょうか? それとも試行錯誤しながら生み出されたものですか?

アリソン:結成当初からずっとこのスタイルだったわ。それは、スチュワートとフィリップと私、そして、ドラムマシーンが創り出したコンビネーションから生まれたものだと思う。ちょっとチューニングの狂ったオルガンも私たちのサウンドを個性的なものにしていたと思うわ。それにスチュワートの切り裂くようなギターとベース、スタッカートの効いたドラムマシーンが乗ることで狙いすぎないレシピが完成したの。

Translated by Yumi Hasegawa

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