ヤング・マーブル・ジャイアンツを構成する5枚 アリソンが語るポストパンクという青春

『Colossal Youth』ジャケット、写真中央がアリソン・スタットン


フェラ・クティの影響とリズムボックス

―フェラ・クティ『The Best of the Black President 2』。アフロ・ファンクを代表するフェラ・クティのベスト盤です。

アリソン:このアルバムは良い曲がたくさんあるから選んだの。もし当時に戻れるんだったら、伝説のLake OffとかFly on the Wallといったショーをこの目で観てみたかったわ。さっきのファニア・オールスターズもそうだけど、あの頃に戻って彼らのショーをぜひ生で観てみたい。当時の空気感を身体中で感じて、自分の中に取り込みたいわ。とにかく、フェラを中心としてこのアルバムに参加したアーティストは誰もが、人権や政治的な公平性というものに対してとても情熱的で、信念をもった素晴らしい人たちだと思う。彼とセッションしたミュージシャンは、音楽的にも人間的にも優れた人が多かった。トニー・アレンやデイビット・サラもその一人ね。フェラは本当に情熱に溢れた、素晴らしいアーティストだと思うわ。特にこのアルバムに収録されている「Sorrow Tears and Blood」は名曲よ。



―あなたは最近のインタビューで「アフリカのドラムが好き」と発言していますが、どんなところに惹かれますか?

アリソン:リズムがとても原始的で、まるで心臓の鼓動ように感じるの。ゴーディ・ライアンというカナダ生まれのアフリカン・ドラムの教師がいるんだけど、彼はババトゥンデ・オラトゥンジと一緒に演奏したミュージシャンなの。以前からよくアフリカの音楽は聴いていたんだけど、彼のワークショップに参加したことがきっかけで友人になって、そこからたくさんのアフリカン・アーティストと出会ったのよ。色々なアーティストと様々なアフリカン・ドラムについて語り合うなかで、アフリカのリズムやドラムをより深く理解できるようになった。私はプロのドラマーじゃないから、スキルを高めるというよりも、みんなで集まって一緒に演奏したり、音を出したりするのが楽しかったの。そうやって、みんなで楽しめるのがアフリカの音楽やリズムの魅力だと思う。

―コンゴス、ファニア・オールスターズ、フェラと、リズムに特徴がある作品が目につきますが、あなたにとってリズムは重要なものなのでしょうか?

アリソン:純粋に音楽を聴くうえではそうね。ただ、私には自分でリズムを創り出す才能がなかったし、子供の頃はまだアフリカの音楽を聴いていなかったので、最初は単純なリズムの曲を作っていた。でも、10代の終わり頃にアフリカの音楽に出会って、どんどんリズムに惹かれていった。そして、自分のソロ作品にいろんなリズムを取り入れることができるようになったのよ。


Photo by Andrew Tucker

―YMGはドラムの代わりにリズムボックスに使っていましたね。そこには何かこだわりがあったのでしょうか。

アリソン:YMG時代は、ライブやツアーで各地を廻ることが多かったから、運搬が大変なドラムセットを使うことに躊躇していたし、大きな音を出すために必要なドラムは、私たちのミニマルなスタイルには必要なかったの。それに当時の私たちはクラフトワークやイーノのようなエレクトロニックミュージックを聴いていたから、ドラムセットよりドラムマシーンを使ってサウンドをコントロールする方が自然だったのかもしれない。ドラムマシーンを導入したのは、ある意味アクシデントのようなものだったの。スチュアートのいとこのピーター・ジョイスがドラムマシーンを作ってくれたのよ。今でこそ、ドラムマシーンなんかの機材は楽器店にいけば簡単に手に入る時代だけど、あの頃は入手すること自体が難しかったから、ドラムマシーンは曲の中のもうひとつの歌声というような位置づけで捉えていたの。

Translated by Yumi Hasegawa

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