ザ・ビートルズ解散劇の裏側 メンバー4人の証言と映画『Get Back』が伝える新発見

Photo by Ethan A. Russell/ (C) Apple Corps Ltd.


ビートルズ解散にまつわる大きな謎

当時を振り返ると、ポールは独り笑いせずにはいられないだろう。ザ・ビートルズという伝説的なクリエイティブ・チームで史上最高のロックンロール・バンドが、ささいな喧嘩から崩壊してしまったのだから。当時と同じく陰鬱な冬の朝に、ポールは爆笑するのだ。

「50年も経って、全く信じられないほど笑える話さ。“ヨーコがギターアンプの上に腰掛けていたから、彼らは解散した”だとさ」

ポールの言うことも間違いではない。50年後、ビートルズ解散については依然としてさまざまな議論がされている。世界で最も注目されている分裂ストーリーだ。フリートウッド・マックのアルバム『Rumours』(邦題:噂)のように、ビートルズの『Let It Be』もまた、分裂を象徴する作品のひとつとされている。ビートルズといえば、一緒に作業し、将来を語り、音楽を作る仲良しグループの代表だ。しかし同時に、お互いを引き裂く象徴でもある。


ザ・ビートルズ、イングランドのアスコットにあるティッテンハースト・パークにて。1969年8月22日撮影。(© Apple Corps, Ltd.)

以降のストーリーは、誰もが知っている。テレビ番組は実現せず、その代わりにバンドは、ロンドンにあったアップル・コア本社の屋上で、彼らのラストライブとなる伝説のルーフトップ・コンサートを行った。彼らの演奏は、警察に止められるまで続いた。同じ年、ビートルズはアルバム『Abbey Road』を制作している。ゲット・バック・セッションのテープは、ほこりをかぶったままだった。バンドの新しいビジネスマネージャーとなったアレン・クラインは、ゲット・バック・プロジェクトの映像を長編映画『レット・イット・ビー』として映像作品化し、同時に同名のアルバムをリリースした。映画は、ポールがビートルズの解散を宣言した数週間後の、1970年5月に公開された。メンバーは全員、映画のプレミアへの出席を拒否した。ゲット・バック・セッションのテープは、フィル・スペクターが切り貼りしてサウンドトラックに仕上げた。直後にジョンは「God」という曲を書き、“俺はビートルズを信じない”と宣言する。その後4人が揃って顔を合わせることは、二度となかった。

50年間、「ジョンとポールが仲違いしていた」「ポールとヨーコが対立した」「ジョンとヨーコは薬物中毒だった」「金の亡者がメンバーに取り入った」「メンバーの間にドラッグが蔓延した」「メンバーの妻たちが出しゃばってきた」と、同じストーリーが繰り返し語られてきた。全ては過ぎ去るもの。夢もいつか終わる。

しかしよく分析すると、どのストーリーも事実はもっと複雑だ。最終的には、仲良し4人組が苦しい時期を共に支え合いながら、今日を乗り切ろうと頑張るストーリーに落ち着く。ジョン、ポール、ジョージ、リンゴの4人は、終わりを迎えるビートルズにショックを受け、不信感を募らせていた。彼らはどうブレーキをかけたらよいか、わからなかった。4人とも、ここで終わりだとは思っていなかった。

コミュニケーションを取りようがない状況で、彼らはどうやって作品にむき出しの感情を注いだのか? ビートルズ解散にまつわる大きな謎として、常に語られている。自分たちが暗く苦しい時期に、人々に希望を与える曲をどうやって一緒に作れたのか? 50年が経った今、さまざまな疑問が新たな意味を持つ。

Translated by Smokva Tokyo

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