PassCode南菜生が語る、「ラウドな音楽性と狂騒感」を求める理由

PassCode(Photo by Shingo Tamai)

2021年8月の今田夢菜の勇退を受け、間髪入れず有馬えみりを新メンバーに迎え入れて即座に動き出した新体制・PassCode。

【写真】ステージに立つPassCode

超ブルータルな絶叫をバリエーション豊かに操る有馬の加入は、レイヴミュージックとポストハードコアを掛け合わせてきたPassCodeの爆発力をより一層増強することになるだろうし、実際、11月10日に新体制一撃目としてリリースされた「Freely / FLAVOR OF BLUE」は急激なリズムチェンジ、ビルドアップとブレイクダウンが忙しなく接続していった先でポップなメロディが羽ばたく「PassCode全部盛り」な作品になっていて、新体制のファンファーレだからこその一撃必殺と、有馬加入に伴って際立つようになったメンバー個々の特徴をフル稼働させたからこそのカオティックな色彩が同時に感じられる。



メジャーデビュー5周年を飾るベストアルバム9月29日に発表したこと、そしてPassCodeの活動と音楽が確立のタームに入ったところでのメンバー交替を経験したこと。その全部を踏まえ、PassCodeとは何なのか?を改めてPassCode自身も見つめ直したことだろう。そもそもPassCodeがラウドな音楽性と狂騒感を必要としたのは何故だったのか。アスリート的とも言える内なる闘いをステージ上で繰り返していたのは何故だったのか。南菜生とともに、PassCodeの核心にあるものを丁寧に紐解いていった。

ー9月の末にベストアルバムをリリースされたこと、11月10日に新体制で初のシングルが放たれることも含め、PassCodeとは何たるかを強く打ち出すタイミングだと思うんですが、南さんご自身は、現状PassCodeの表現はどんなものだと思われていますか。

今の4人と旧体制の4人では表現していることが違うと感じていて。今までは、パフォーマンスのクオリティを上げることは大前提でありつつ、それ以上にメンバーの関係性を考えたり、PassCodeがどんなふうにライブに向き合っているかを見せたりする向きが強かったんです。いいパフォーマンス以上に、「PassCodeってこういうものですよ」っていうのを見せている感覚のほうが第一にあったというか。そこにはいろんな要素があったとは思うんですよ。たとえば今田(夢菜/2021年8月3日に脱退)の体調の波もあって、パフォーマンスにムラがあったのは事実で。その日によってムラがあるのはよくないですけど、それでもPassCodeを観たいと思ってもらうためにはどうしたらいいのかを考えて、自分達がどういうふうに闘っているのかを観てもらう感覚が強くなっていたんです。でも、有馬(えみり)が加入した今の4人体制になる少し前くらいから感覚が若干変わってきたんですね。メンバーのことを気にかけるよりも、一人ひとりが自分の持ち場で最善のパフォーマンスをするっていうことに集中できるようになってきて。各々の強みを生かして、その武器の集合体がPassCodeになるっていう意識に変わり始めましたね。パフォーマンスの完成度は大前提として、今は「PassCodeですよ」っていう部分じゃなくて自分達そのものを見せてる。それがPassCodeの表現ですかね。

ーPassCodeという型をやるんじゃなくて、むしろその型を脱いでいくことで生身の表現になっていくということですよね。

そうですね。たとえばPassCodeのライブは、毎回同じ形をやることを「クオリティが高い」とは思っていなくて。プロなら毎回同じクオリティのものを見せるのが普通だと言われるかもしれないですけど、その瞬間にしか出てこない感情を表現する人間の部分を見てもらえるのがPassCodeのよさだと思います。昨日できなかったことを今日できるようにするのは当たり前として、それでも練習だけでは生まれ得ない感情をそのまま出していくのが面白いし、自分自身もそこに成長を感じるんですよ。

ーステージでしか出てこない感情とは、言葉になりますか。

たとえばライブの最後によく歌う「It’s you」という曲があって、あの曲を歌うと過去のことがフラッシュバックするんです。けして練習の時は何かが蘇ってくる感覚はなくて、ステージ上で歌う瞬間だけ一気に浮かび上がってくる。その時に、過去の全部が繋がって今の目の前の景色になっているんだって思えるんです。スポーツ選手でよく聞く「ゾーンに入ってる」っていう感覚が私にもある気がしていて。そこに行けた時が気持ちいいというか、シックリくる自分になれるんですよね。その気持ちよさがPassCodeを続ける原動力かもしれないです。



ーシックリくる自分というのは、普段はなかなか出せない感情をステージで出せる感覚なのか、むしろステージのほうがカッコつけない自分になれるっていう話なのか。どんな感覚なんですか。

うーん……普段はそんな自信満々じゃないのに、ステージの上では自分が誰よりもカッコいいっていう根拠のない自信があるんですよ(笑)。もちろん、PassCodeの歌詞や楽曲にどんどん自分が寄っていく感覚があるので、このラウドなサウンドだからこそ出てくる自分もいると思うんですけど。ただ、どちらにせよ私はあの場所(ステージ)が一番居心地がよくて。そこで伸び伸びやっているだけで、無理やり感情を引っ張り出すというよりも、ステージでこそ一番素直な感情を表現できるっていう感覚なんですよね。

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