アレサ・フランクリン伝記映画『リスペクト』事実検証

映画『リスペクト』のジェニファー・ハドソンとメアリー・J・ブライジ (Photo by Quantrell D. Colbert/MGM Pictures)


4.フランクリンがテッド・ホワイトと結婚したのは失敗作が続いた時期ではなく、駆け出しのレコーディングアーティスト時代である

映画にもあるように、フランクリンが最初の夫となるテッド・ホワイト(マーロン・ウェイアンズ)というデトロイト出身の男性と父のホームパーティーで出会ったのは事実だ。だが、この束の間の出会いは1954年——フランクリンがまだ十代の頃——のことで、1960年のコロムビア・レコードと契約を交わす前ではない。後にフランクリンは、ホワイトがダイナ・ワシントンと一緒に自宅を訪れたと振り返っている。そのときのホワイトは、パーティーが終わる頃には抱えられた状態で家を後にしなければならないほど泥酔していたという。


『リスペクト』のマーロン・ウェイアンズとジェニファー・ハドソン(中央)(Photo by Quantrell D. Colbert/MGM Pictures)

映画は、素早く時系列順にふたりの関係を大まかにたどり、フランクリンがレコーディングアーティストとしてのキャリアを確立する1960年代半ばにふたりが一緒になったかのような印象を与える。実際には、ふたりは1961年に付き合いはじめている。フランクリンが最初のアルバムをリリースした年だ。数カ月後には結婚し、まもなくしてホワイトはフランクリンのマネージャーになる。2枚目のスタジオアルバム『ジ・エレクトリファイング』後にコロムビア・レコードのプロデューサー、ジョン・H・ハモンド(テイト・ドノヴァン)と手を切るようフランクリンを説得することがマネージャーとしての初仕事のひとつだった。

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「ひも」や「詐欺師」、さらには「デトロイト屈指のやり手」とフランクリンの友人から呼ばれたホワイトは、妻のキャリアをコントロールしていた人物として悪名が高い。劇中では、フランクリンに対して感情的に悪口を言い、たびたび暴力を振るう人物として描かれている。こうした描写が事実であることは、伝記や略歴における異様なまでに大量な報告によって裏付けられている。波乱に満ちたふたりの関係は、1969年に終わりを迎えた。伝記作家のマーク・ビーゴによると、それ以来、ふたりはたった2回しか言葉を交わしていない。

Translated by Shoko Natori

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