ABBA復活記念、究極の名曲トップ25

6位 「Hey, Hey Helen」(1975年)

離婚した子持ちの主婦を応援するグラムロック・アンセム。主婦層は、ABBAが登場するまで、ラジオを積極的に聴く視聴者層ではなかった。本作は70年代に盛り上がったフェミニズムをテーマにした、初期のポップソングのひとつだった(“あなたが払った代償は/今どきの女性になるためのもの”)。ベルボトムを履いたアンニ=フリードとアグネタが、新たな冒険に出るヘレンに声援を送る。ABBAのロックのパワーは決して侮ってはいけない。キッスが「Calling Dr. Love」に流用するほど、本作のギターリフはヘヴィなのだ(ビヨルンとベニーによるフェミニズムを前面に押し出した楽曲を、ジーン・シモンズが借用した。つまりジーンはABBAの熱烈なファンで、彼も趣味が良いということだろう)。本作が映画『マンマ・ミーア!』から外れていたのは驚きだが、続編にも含まれなかったABBAの作品の中で、間違いなく最高の楽曲だと言える。シェール、メリル(・ストリープ)、(クリスティーン・)バランスキーが総出演する『マンマ・ミーア3:ターン・バック・タイム』で、本作が流れることを祈ろう。



5位 「Mamma Mia」(1975年)

ビヨルンとベニーは、シロフォン使いの天才だ。本曲では彼らの才能が十分に発揮され、さまざまな音がひとつの曲に詰め込まれている。苦しいが止められない恋の悩みを歌った3分半の「マンマ・ミーア」は当初、米国やヨーロッパでは受け入れられず、トップ40に入るのがやっとだった。サウンドが明るすぎたようだ。ところが今や、ABBAの伝説の中心に位置する曲になっているから驚きだ。当時にしてはアバンギャルドなポップ曲だったのは、間違いない。デヴィッド・ボウイの『Low』や『Heroes』を聴いてみて欲しい。シン・ホワイト・デュークも、頭の中で「Mamma Mia」が流れ続けて離れないファンの一人だったことがわかるだろう。



4位 「SOS」(1975年)

ジョイ・ディヴィジョンや初期ザ・キュアーの曲を聴いてから本作を流してみると、ABBAがいかに“ゴス”的だったがわかる。哀愁を帯びたピアノの旋律からシンセサイザーが加わって過剰なまでの盛り上がりを見せる「SOS」は、後のニューウェイヴやポストパンクのアーティストたちに大きな影響を与えた、煌びやかな北欧のメランコリーを表現している(トリビア:ヒットチャート入りした曲名とアーティスト名の両方が回文になっているのは、SOS/ABBAが唯一の事例。)「ABBAは、中高年の抱える問題を曲のテーマに取り上げた最初の国際的バンドだろう」と、おそらくABBAファンではないピート・タウンゼントが、ローリングストーン誌のカバーストーリー(1982年)で語っている。「米国にいる時にラジオで『SOS』を聴いた。後からアーティストがABBAだと知ったが、その時は既にこの曲に魅了されていた」と彼は告白した。


Translated by Smokva Tokyo

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