ABBA復活記念、究極の名曲トップ25

15位 「The Day Before You Came」(1982年)

ザ・ビートルズの「I Me Mine」や、ザ・スミスの「I Keep Mine Hidden」に見られるように、大物ポップグループが最後にレコーディングする曲は、駄作になりがちだ。しかしABBAの場合は、ダークウェイヴの驚くべき傑作になった。アグネタが、スウェーデンのオフィスワーカーのありふれた日常を、分刻みで語る。主人公は、仕事から帰宅後にテレビ番組『ダラス』を見て、(マリリン・フレンチの最新刊など)フェミニストの小説を読むのが楽しみになっている。単調な生活が変わるかどうかは定かでない。良くなるのか、それとも悪くなるのか、先のことは誰にもわからない。本作を聴くと、デペッシュ・モードの『Violator』に収録された「Policy of Truth」や「World in My Eyes」が思い起こされる。アグネタは、スタジオの照明を落としてボーカルのレコーディングを行なったという。歌い終わると彼女は、そっと出ていく。パーフェクトだ。



14位 「Tiger」(1976年)

ABBAによるロックソングの傑作のひとつ。アグネタとアンニ=フリードが、自分たちの荒々しい性欲の強さを誇示する(「Rock Me」や「Bang-a-Boomerang」にも共通するものがある)。本作で2人は、“出会った男を/食べてやる/私はタイガー!”と、ストックホルムのコンクリートジャングルを徘徊しながら若い男を狙う凶暴な虎を演じる。ラストは、身の毛もよだつ叫び声で締め括られる。



13位 「Thank You for the Music」(1977年)

“私は特別ではない/実際に退屈な人間だし”という歌い出し。ABBAは最も純粋なラブソングに、自分たちの信条を集約した。決して自分たちを裏切らない、音楽に対する強い情熱をバラードに込めている。ラッシュの「The Spirit of Radio」と比較すると、全く相容れないように見える2つのグループに、興味深い共通点が見つかるだろう。ビヨルン、ベニー、アグネタ、アンニ=フリードはスウェーデン版ラッシュだったのか? 或いはゲディー、ニール、アレックスの方が、カナダ版ABBAなのかもしれない。



12位 「Fernando」(邦題:悲しきフェルナンド、1976年)

“フェルナンド、ドラムの音が聴こえるか?”と歌う本作は、ABBAのバラード曲の中で最もヒットした作品のひとつ。スウェーデンとメキシコの国境沿いのとある国で革命を戦う同志の物語を、星空の下のキャンプファイアーを囲んでギターをかき鳴らしながら歌う。映画『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』では、アンディ・ガルシア演じるフェルナンドを前に、ルビー(シェール)が本作を歌い上げる。本作はABBAとしてレコーディングする以前に、アンニ=フリードが1975年のソロアルバムで歌った。同作では他に、ビーチ・ボーイズの「Wouldn’t It Be Nice」やデヴィッド・ボウイの「Life On Mars?」をスウェーデン語で歌っている。



11位 「Does Your Mother Know」(1979年)

ビヨルンがリードする本ヒット曲は、あるグルーピーを若すぎるという理由で拒絶する内容の、70年代のレア中のレアな作品だと言える。正に時代遅れだ(同時期には、ロッド・スチュワートの「Hot Legs」、フォリナーの「Hot Blooded」、ニック・ギルダーの「Hot Child in the City」をはじめ、“ホット”をタイトルに冠した、モラル的に受け入れ難い数多くのヒット曲があった)。スウェーデン各地の村には、「母親は君が外出していることを了解しているか?」とビヨルンに言わせたのは私よ、と言い張る60歳を超えたお婆さんが少なくとも1人ずついる。


Translated by Smokva Tokyo

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