安田レイが語る、大切な「あなた」を歌うことで辿り着いた自己肯定

─お話を聞いていて思ったことが2つあります。1つは、安田さんにとって「It’s you produced by JQ from Nulbarich」の制作は、思いを文字にすることで自分が何を考えているかがわかる、みたいな経験でもあったのかなと。思っていることを書くというより、書くことによって思いを知るといいますか。

はい。そればっかりですね。自分の分析ってなかなかできなくて、歌詞を書く作業が唯一それができる瞬間なのかなって思います。

─インタビューで作品について話したりいろいろ訊かれることはどうですか?

発見がいっぱいあります。自分ひとりでボーッと考えてても「はてな?」で終わっちゃったりするんですけど。だからインタビューは大好きですね。しかもできたてホヤホヤの大好きな曲たちについて話せるわけだから最高です。

─言語化を通して自分が何を思っていたかを知るのが楽しい?

そうですね。自分ひとりで考えてても終わりがないですし、作詞と、あとは人と話すことぐらいしか、自分のことを知る機会ってないなって思います。結局、自分じゃない誰か、何かを必要とするんだなって。特にデビューしたときは作詞作曲もしてなくて、それこそ本当にいろんな力を借りていたので、「わたしは何もできないな」ってすごく感じてました。だからこそ自分で曲を作りたいっていう気持ちも生まれたと思うんですけど。それができるようになっても、編曲とかレコーディングとか、まだまだ誰かの力をすごく必要としてるので。この曲を作ることは、そうした過去のいろんな出会いをゆっくり思い出す時間にもなったなと思います。

─そう、もう1つ思ったことがそれでした。過去の出会いや経験を、つらかったことも含めて現在の自分を作っているものと思えているということは、今の精神状態がとてもいいんじゃないですか?

あははは! カウンセラーとしゃべってるみたい。「今、状態いいですね〜、安田さん」(笑)。おかげさまで状態いいです。やっぱり、ひとりでやるよりも誰かと一緒にやるほうが、状態がいいままできる気がしますね。例えば作詞にしても、ひとりで作業するときは自分にひたすら聞いて答えが出ない、みたいな感じですけど、誰かと一緒だと「この気持ちを表現したいけど、このワードじゃないんだよね。何がいいかな?」って相談できる。すごく楽しいし、前向きな作業だなって思います。

Rolling Stone Japan 編集部

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