アジア系アメリカ人を「イエロー」と表現、 米共和党議員が人種差別発言

Oklahoma State Senate/YouTube/Screencap

米共和党でオクラホマ州のデヴィッド・レーダー州上院議員が窮地に立たされている。刑事司法政策の分析官が人種間の富の格差について議会で証言した際、アジア系アメリカ人家庭を「イエロー」と呼んだためだ。地元TV局KFORが現地時間22日に報じた。

【動画を見る】「あなたがブラックとかブラウンという言葉を使ったからだ」と逆ギレする議員

オクラホマ政策研究所の分析官ダミアン・シェイド氏は上院議会でアメリカにおける人種差別の歴史について説明し、白人家庭と有色人種家庭の富の格差が広がった経緯を語った。「(人種間の富の格差が拡大したのは)時の経過とともに資本が減少したことによる相乗効果が主な原因だと私は考えています。資本を手にする機会が少ないと、教育の機会も同時に少なくなります。起業する機会も、持ち家を所有する機会も少なくなります」とシェイド氏。説明の終盤でレーダー議員はシェイド氏に質問したが、その際にアジア系アメリカ人家庭を蔑称で呼んだ。

「あなたの説明はイエローの家庭(yellow families)にも触れていましたか?」とレーダー議員はシェイド氏に尋ねた。

「アジア系アメリカ人のことですか?」とシェイド氏は聞き返した。

「あなたがブラックとかブラウンとかホワイトという言葉を使ったので、私もあなたに倣ったまでです」と言ってレーダー議員は蔑称で呼んだことを正当化し、どうにかシェイド氏に責任転嫁しようとした。

「私の理解が正しいかどうか、確認したまでです」とシェイド氏。

「アジア系の例外です(Asian distraction)」とレーダー議員は返答した。

「アジア系アメリカ人ですね」とシェイド氏は穏やかに正した。

「彼らはその他大勢とは……よそから来た他の人たちとは全く違う経験をしているでしょう」とレーダー議員。蔑称を使った上に、議員はいわゆる「模範的マイノリティ」、つまりアジア系アメリカ人は他の人種が経験するネガティブな人種差別を経験していない、という誤った認識を前面に押し出す発言をした。議員は質問を続け、黒人家庭についても侮蔑するようなことを口にし、1964年の市民権法や「偉大な社会政策」以前の黒人家庭は裕福で「はるかに健全だった」と主張した。

「私が拝見したデータによれば、1960年の黒人家庭はその後の30~40年と比べると、はるかに健全でまとまっていました」と議員は主張。人種間の富の格差の原因は黒人文化にあり、人種差別的な国政に責任はない、という一部共和党員の誤った認識をあらためて示した。

ローリングストーン誌の取材申請に対し、レーダー議員の事務所からはすぐに返答はなかった。議員はKFOR局に声明を発表したが、聴聞会での発言については特に触れなかった。

「私はこれまでの人生をフットボールコーチとして、また教育者として、あらゆる人種や経歴の人々へ機会を創生してきました」と声明の中で議員は述べた。「議員になってからも、こうした重要な活動を続けています。我が州や我が国の誰もが、アメリカンドリームを追い求めるチャンスを手にするべきだと信じているからです。これまでの人生でずっとそうしてきたように、私は身を粉にしてこうした夢の追求を困難にするような障壁を取り除こうとしているのです」

Translated by Akiko Kato

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