松本隆がアイドル界・歌謡曲界に変革をもたらした70年代後半から80年代を辿る

ヨコハマ・チーク / 近藤真彦

1981年3月発売。近藤真彦さん「ヨコハマ・チーク」。このCD『風街とデラシネ~作詞家・松本隆の50年』は同じ日、10月27日に発売になる、本の中で取り上げたアルバムのアーティストを1アーティスト1曲収録しているんですね。で、マッチは「スニーカーぶる~す」にしようかどうしようか迷ったんですけど、ソニーの担当の方が「「スニーカーぶる~す」はあちこちで収録されているから、他のにしません?」って言われて、そうか、1位になれなかった曲にしようと思ってこれにしました。「ルビーの指環」があって、1位になれなかった。ジャニー喜多川さんは1975年の小坂忠さんの「しらけちまうぜ」が好きで、マッチで起用されたという青春像ですね。松本さんがよく使う言葉に「通底」がありまして。同じものが流れている。明るく清らかで逞しい精神とは違う、繊細で憂いのある青春。この「ヨコハマ・チーク」は当時代々木の歩行者天国でオールディーズでみんな踊っている気分がこの歌にも入ってますね。職業作家なんだけれども、ずっと自分のストーリー、自分の絵を書いてきている。それで、これだけの実績があるのが松本隆さんですね。でも、まだ序章と言ってもいいかもしれません。ここから本編と言っていい。そんな曲をお送りしようと思います。



1982年1月発売。「赤いスイートピー」。10月27日に発売になる2枚組のアルバム『風街とデラシネ~作詞家・松本隆の50年』。これは同じ日に出る本の中で紹介しているアルバムを中心にした曲を選んでいるのですが、1アーティスト1曲という縛りがありまして、松田聖子さんは色々考えたのですが、やっぱりこれかなと思いました。作曲がユーミン・呉田軽穂だったということもあるし、松本さんがその後、松田聖子さんという題材、舞台、戦場で何をやろうとしたのかということのいろいろな意味がこの曲に込められている。ユーミンが入ったことで、松田聖子さんのその後も変わったと言っていいでしょうし、さっきもちょっと触れましたけど、作詞家・松本隆は単に作詞家だけではなかった。プロデューサーだった。シンガーソングライターを作曲家として起用してきた。それでアイドル、歌謡曲の音楽を変えてきた、そういう革命家でもあったわけで、そんなきっかけの曲として、この曲を選びました。付き合って半年、手も握らないあなた。そして、あなたの生き方が好き。松田聖子さんは生き方を歌ったアイドルだったという話も、重要だなと思いました。

Rolling Stone Japan 編集部

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