ロン・ウッドが語るストーンズからの学び、人生の秘訣、がんの恐怖に打ち勝った理由

ロン・ウッド(Photo by Fiona Goodall/Getty Images)

現在はローリング・ストーンズの一員としてツアーを回っているロン・ウッド。ジミー・リードに捧げた最新ソロ・アルバムも発表したばかりの彼が、人生の秘訣と演奏する喜び、ストーンズやフェイセズから学んだことを大いに語る。

新型コロナによるロックダウン中の忙しさについて質問すると、ロン・ウッドは予期せぬ活動中止をそれほど気にしていないようなトーンだ。「1マイル離れたイギリスの田舎で過ごした。そこには自宅スタジオもあるよ。森の中を散策したり、アート作品の制作にかなり時間を費やしたね。この時間を一番有意義な方法で過ごしたよ」と、ローリング・ストーンズのギタリストであり、画家でもあるロンは答えた。

この活動停止中に小細胞がんとの闘いに勝つための時間もあったとは言え、74歳のロンは絵の制作と、いつくかの音源でのギター演奏の時間も作った。一つはストーンズのリイシュー版『Tattoo You』で、もう一つはリリース日未定のフェイセズの新作。「ロックダウン中に1カ月かそこらの間、完璧に記憶の彼方に行ってしまっていた曲や、後回しになっていた曲をもう一度プレイするってのは冒険みたいだった」と、Zoom越しのロンが答えた。このインタビューが行われたのはチャーリー・ワッツが他界する1カ月前のことだ。「俺は思ったよ、『ああ、これをやるなら今だな。全部、時間なんて関係ない曲ばかりだから』ってね」と、彼は続けた。

また、9月17日リリースの新しいソロ・アルバム『Mr. Lack – A Tribute to Jimmy Reed: Live at the Royal Albert Hall』の準備中に、他のミュージシャンの不朽の音楽をじっくり検証する時間もあったと言う。このアルバムは2013年に行ったコンサートの模様が収録されていて、70年代半ばまでストーンズを支えた、ギタリストのミック・テイラーも一緒に演奏している。さらにゲスト参加しているのはポール・ウェラー、シンプリー・レッドのミック・ハックネル、ボビー・ウーマック。ちなみにウーマックは翌2014年に他界している。「あのコンサートは彼の最期のライブの一つで、大切で、愛おしいよ」とロン。

ロンはここで、ジミー・リードに敬意を表したかった。それと言うのも、世間がこの偉大なブルースマンを見落としていると感じるから。リードは60年代にクラシック曲「Baby, What You Want Me to Do」「Big Boss Man」「Bright Light, Big City」などを作った。「みんな、マディ・ウォーターズやハウリン・ウルフ、バディ・ガイのことは話題に出すけど、ジミーが作った曲はシンプルだった。ブルース初心者が聞くと、ちょっとレゲエ風に聞こえる。理由は『全曲とも同じビートに聞こえる』せいだ。構成も似ている。でも、全曲ともそれぞれに独自の個性が光るんだよ」とロンが説明する。


もちろん、ロンはそういうことに詳しい。60年代の彼は、フェイセズやストーンズと関わる以前から、熱狂的なブルースファンだった。ジェフ・ベック・グループではベースを弾き、後にボ・ディドリーとギグを行い、BBキングともセッションを行っている。そして、ブルースの域を超えて、ロンはジョージ・ハリスン、ボブ・ディラン、アレサ・フランクリンともレコーディングを行った。さらに、ビジュアル・アーティストとしても成功し、ストーンズのメンバーやセットリストの絵をよく公開している。今回、ローリングストーン誌の企画「The Last Word」で、これまでの生涯で得た人生訓や、著名人である友人たちと仲良くする秘訣などを語ってくれた。

Translated by Miki Nakayama

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