テキサス州、中絶禁止法が一時差し止めへ

Sergio Flores For The Washington Post/Getty Images)

2021年10月6日夜、連邦地裁の判断でテキサス州の中絶禁止法が一時差し止めとなった。同州の中絶禁止法は、妊娠6週間以降の人工妊娠中絶に関わったあらゆる者が訴訟の対象となる一方、どこに住む誰であろうと訴訟を起こすことが可能かつ、訴訟を起こしたものには10000ドルの法定報奨金が支払われるものになっており、全米で最も厳格な中絶禁止法であると言われている。

今回の差し止めに至るまでの経緯として9月1日、連邦最高裁がこの法律に対する権利擁護団体等の差し止め請求を退けた直後、司法省が同法を違憲としてテキサス州を提訴していた。同州はこれを不服として控訴しており、最高裁に差し戻されるものと見られていた。

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今回差し止めの判断を行なった連邦地裁のピットマン判事は、113ページに及ぶ意見書で「中絶を選択するという個人の権利は決して剥奪されるべきものではなく、憲法により保証されている」「州による直接の決定で市民からこの権利を剥奪することは著しく違憲であることを認識した上、同州はそのために前例のない法律を企てた」と述べている。

ピットマン判事は、この法律が今に至るまで差し止められなかった唯一の理由を、本来なら違憲であると判断すべき法的精査を「意図的に回避」するように設計された法定報奨金制度にある、とした司法省の見解に賛同している。ジョージア州、アイオワ州、ケンタッキー州、ミシシッピ州、ノースダコタ州、オハイオ州、サウスカロライナ州、テネシー州の8州においても、過去にテキサス州と同様の法律が施行されようとしたが、中絶に6週間の猶予しか認めないとする制度は違憲であると結論づけられ、すぐに差し止められていた。

Translated by Kazuhiro Ouchi

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