Park Hye Jinから辿る韓国シーン最前線 K-POP隆盛の裏で何が起こっている?

Park Hye Jin(Photo by Dan Medhurst)


Park Hye Jinの音楽的特徴、内省的な歌詞世界

彼女の音楽の特性は、インディーロックやヒップホップ、歌謡曲など様々な音楽を吸収した中で構築されるミニマルなエレクトロニック・ミュージックに加え、心地よくリズムとしてハマるシンプルな韓国語の、その内省的な歌詞にあるのではないだろうか。

1st EP収録のタイトル曲「If U Want It」では、立ち止まっている自分に、もう一人の自分が問いかけている様を綴っている。

난 아무것도 몰라(私は何も知らない)
내 메모장은 하나도 쓸모없어(私のメモ帳は一つも役に立たない)
내 생각과 내 말투를 그대로 곱씹어봐!(私の考えと話し方をしっかり考えろ!)
혜진아! 어서 여기 앉아 너, 뭘 하고있는거야(へジン!そこに座って。あんた、何をしてんの)
어서 책상 집어 치워 밖으로나가(とっとと机の荷物片して)
만세삼창이라도 한번 외쳐봐 그래!(万歳三唱の一つでも叫んでみたい)
지나가는 하나둘 다 나 쳐다보잖아(通りすがりの一人や二人、私のこと見るんじゃない)
이거야 이거야 이거야 이거야(これだ、これだ、これだ、これだ)



同EPの「I DON’T CARE」は、自分を鼓舞するような歌詞になっている。

난 상관없어(私は気にしない)
너가 뭐라고 하던 난 그냥 할거야(あんたが何と言おうと、ただするだけ)
내가하고자 하는거 그냥 할거야(私がやろうと思ったこと、ただやるだけ)
내가 하고싶으니까 그냥 계속할거야(私がやりたいから、ただずっとやるだけ)
내삶속에서 무엇이든 바랄 수 있어(自分の人生のなかで、なんだって望める)
난 나를 믿어 난 나를 믿어(私は私を信じる)

나(私)に対してもう一人の自分を너(君)とし、너(君)を通して自分自身に言いたい事を書いていたというPark Hye Jin。歌詞の対象は常に自分に向かっており、生きていく中での孤独や葛藤、時には恋愛で蠢く心情などが書かれている。



ミニマルなビートに乗せて、言葉として伝えるというよりは心地よいリズムとして、シンプルで飾らない歌詞が書かれていた過去のEP2作品に対し、よりポップなサウンドを鳴らす今作『Before I Die』では、歌詞は確かな意志を持ち、自分自身に伝えたい、そして誰かにシェアしたいメッセージとして存在している。

故郷を離れての生活や、家族との別れ、セックス、音楽業界、そして子供の頃のノスタルジーなど、彼女が海外で体感し想い巡らせた言葉は、空気や体温、匂いを感じるリアルさがある。

이렇게 날 좋은 날엔 너와 함께 노랠 불러(こんなに気分がいい日には、君と一緒に歌を歌う)
이렇게 날 좋은 날에 너와 함께 춤을 춰(こんなに気分がいい日には、君と一緒にダンスをする)
Let’s sing, let’s dance(さあ歌おう、共に踊ろう)
(『Before I Die』収録曲「Let’s Sing Let’s Dance」より)



2019年時点で「ビートを先に作ってから歌詞を書くので、ビートが単調なものだとどうしても歌詞も引っ張られてシンプルになった。頭の中の考えをより自由に表現することが今後の課題です」と答えていた彼女。ドリーミーなR&B、ローファイ、ミニマル・ハウスなど、誇張し過ぎない多彩なサウンドと自叙伝的なリリックで構成された今作は、掲げてきた課題に向き合い、表現者として成長したことが見て取れるだろう。

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