米高校の武装職員が18歳女性に発砲、脳死状態に

2021年10月1日、米カリフォルニア州ロングビーチにて。記者会見を終え、モナ・ロドリゲスさんの兄オスカルさんに肩を抱かれる母親のマヌエラ・サアグンさん。(Photo by Carolyn Cole/Los Angeles Times Los Angeles Times/Getty Images)

米カリフォルニア州ロングビーチのミリカン・ハイスクールの前で走り去る車に向かって発砲し、18歳のモナ・ロドリゲスさんを脳死にいたらしめた高校の安全管理者に対して、現地時間5日朝、モナさんの家族は記者会見を開き、刑事起訴を求めた。モナさんはミリカン・ハイスクールの生徒ではなく、生後5カ月の息子がいる。

【動画を見る】発砲の瞬間

9月27日、ロングビーチ空港からほど遠くない全校生徒3500人の高校付近の駐車場で事件は起こった。高校の安全管理者で51歳のエディ・F・ゴンザレス氏(ロングビーチ学区が確認済み)は現地で交通整理に当たっていた。ロングビーチ警察の話によると、ゴンザレス氏は午後3時を回ったころ、モナさんと身元不明の15歳女子が通りでもめているのを見たという。

ケンカが起きた後、モナさんは恋人が運転するグレーの車の助手席に飛び乗った。携帯電話の動画にはその後の惨劇が収められている。安全管理者が近づくと、車は急発進してその場を立ち去ろうとした。車は右に大きくハンドルを切り、安全管理者に寄せた。安全管理者は後ずさり、銃を抜いて立ち去る車に二度発砲した。動画には、銃声後の同乗者の叫び声も収められている。

ロングビーチ警察はモナさんが「上半身」を打たれたと話しているが、彼女の家族は頭部を撃たれたと言っている。校内安全管理者のゴンザレス氏は、ロングビーチ警察と地区検事局の捜査が終わるまで管理休職に置かれている。

ローリングストーン誌の取材でロドリゲス家の代理人をつとめるルイス・カスティーヨ弁護士は「発砲はまったくもって正当化できません。残忍極まりない。あれは犯罪です」と語り、安全管理者についてこう付け加えた。「彼は完全に大きな間違いを犯しました。彼女の脳を損傷したのみならず、一家全員を破滅させたのです」。6カ月の赤ん坊の母親だったロドリゲスさんは、臓器移植のため1週間人工蘇生器につながれていた。

5日夜、モナさんの家族は臓器移植が完了したとの声明を発表した。

「本日モナことマヌエラ・ロドリゲスは、心臓、肝臓、肺、2つの腎臓を提供し、5人の方々の命を救いました。ロングビーチ記念病院のモナがいた病棟の医師や看護師の皆さんは、モナが手術室に運ばれていく間、廊下に整列して英雄としてお見送りくださいました。その間、彼女が好きだったSkeezyの“Letter to my son”が流れ、手術中もずっと流れていました……モナの心臓は本日午後5時14分に心拍を停止しました。モナ、どうぞ安らかに――家族はずっと、あなたに代わって正義のために戦います!!」

Translated by Akiko Kato

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