手拍子のリズムパターン、クイーンやスライの名曲から鳥居真道が徹底考察

「片手で両手は撮影できない。隻手の音を聞くとは・・・」

ファンクやソウルのリズムを取り入れたビートに、等身大で耳に引っかかる歌詞を載せて歌う4人組ロックバンド、トリプルファイヤーの音楽ブレインであるギタリスト・鳥居真道による連載「モヤモヤリズム考 − パンツの中の蟻を探して」。第28回は誰もが持っている楽器・手拍子が登場する名曲のリズムパターンを考察する。

過日、『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』を渋谷のシネクイントへ観に行きました。これがとても素晴らしい作品でした。『サマー・オブ・ソウル』は1969年にニューヨーク州の公園で開催されたハーレム・カルチュラル・フェスティバルの映像に当時参加した人物たちへのインタビューで構成されたドキュメンタリー映画で、クエストラブが監督を務めています。

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普段、音楽を聴くときはもっぱらサウンド的な面に関心が向きがちです。『サマー・オブ・ソウル』のようなドキュメンタリー映画を通じて背景を知ながら聴くと、また別の聴こえ方がするものです。これは『アメリカン・ユートピア』や『アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン』を観たときにも感じたことですが、字幕のおかげで歌詞の内容を知りながら聴けるのも音楽映画の良い点だと思います。

映画の後半、ニーナ・シモンが「To Be Young, Gifted & Black」を歌う場面では涙が溢れてきました。この曲に登場する「世界は君を待っている。冒険の始まりだ」という一節に心を打たれたのです。なんて心強いメッセージなのでしょうか。

他にも印象に残ったシーンがあります。どの曲だったか忘れてしまいましたが、スライ・ストーンがステージの前方に移動して手拍子を打つ姿になぜだかぐっときました。その理由はよくわかりません。単純に熱を感じたのでしょうか。

手拍子を打つスライの姿が脳裏に焼き付き、映画を観てからここ数日というもの、手拍子って良いよね、と思ってばかりでした。

Rolling Stone Japan 編集部

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