泉谷しげる、90年代以降から「阿蘇ロック」に至るまでを振り返る

阿蘇ロックフェス・ステージ

田家:2017年の「阿蘇ロック」の最後の(取る)ステージの模様をお聴きいただいております。「野性のバラッド」を1番最後に歌っている。

泉谷:もう帰れですからね(笑)。まじで疲れてるんだから。ひどい地形なんで。

田家:阿蘇高原ね。1987年、ビートチャイルドをやった。高原の斜面ですからね。

泉谷:そういう上ではフェス独特の不便さを体現しましたね(笑)。

田家:2017年はウルフルズ、サンボマスター、WAINMA、電気グルーヴ、いろいろな人たちが出て。2018年も行って、2019年は北九州、2020年は中止で今年10月23日、24日勇退を発表されて。

泉谷:そうです、勇退ですよ! もっと静かにフェードアウトしたいんだけど、静かな人じゃないんで(笑)。

田家:今年もOKAMOTO’S、KEYTALK、Creepy Nuts、スチャダラパー、never young beach、ももいろクローバーZ、GLIM SPANKY、くるり、ゴールデンボンバー、サンボマスター、いろいろな人たちが出ますけども。今お聴きいただいている2017年と決定的に違うのはお客さんが「いえーい!」とか「わー!」とか、一緒になって歌えない。

泉谷:この時点で言っているんだけど、お前ら、もう帰れよ、とか言いながら客席に乱入する卑怯な手がもう使えないという。音楽のみだけで勝負しなきゃいけない。ある意味では健全かなって感じですよね。お客さんに頼ったところがやっぱりあるので、逆に言えば、こういう時こそパフォーマンスの精度を上げて、自分の歌力(ウタヂカラ)とか、そういうものをやるべきなんじゃないかなとは思いますね。

田家:今年は先日愛知県の常滑市で思ってもみなかったようなとんでもないイベントが行われてしまって。日本中の業界関係者が怒り狂っていると思うのですが。

泉谷:怒り狂うなんてものじゃないですね。

田家:せっかく感染症対策をきちんとやって、ノウハウが見つかり始めたところに何してくれるんだっていうね。

泉谷:全くそうで、テレビでも言いましたけど、野外フェスは昔と違って反体制ロックフェスではないんで。地方の行政からお金もらってやっているんですから。行政と一緒にやって、医師会や地元の了解を得て成立しているものなので、地域活性イベントでしょ。

田家:「阿蘇ロックフェスティバル」開催に向けてということで、感染症対策の細かいところを発表されています。

泉谷:相当うるさくてすみません。

田家:全員に抗原検査を実施します。そして、ふしょふく……。

泉谷:不織布マスク。俺もようやく言えるようになった(笑)。

田家:不織布マスクを使ってくれと。飲酒およびアルコール類の持ち込みは禁止。声を大にして言わないといけないですね。

泉谷:もし関係者がゆるい態度でいたら、私はマイクの前に立って、はい休止とはっきりと叫びます。気になって集中できないかもしれないけど、かえってそれによって冷静にステージを観れるんだったら、ミュージシャンの精度を観れるかもしれないので。ちょっと冷静に観ようよ。この人たちがどういう音楽をやっていて、雰囲気に飲まれるのではなく、何を歌って、どういう演奏テクニックを持っているのかをじーっと見たらどうでしょうか。

田家:音楽をきちんと聴く。

泉谷:そう。自分らも寂しいけど、手拍子、拍手はいりませんので。いつかできるためにも、しっかりやって、できなくなるよりはいいじゃない? 今が窮屈でも。ここであえて騒いじゃうと、できなくなっちゃうわけで。いつかできるようになるから、そのためにも今は我慢というか、冷静になっていただいて今後もフェスをやっていけるような道しるべを作ろうよ。

田家:そうやって音楽を聴いた時に風のそよぎとか、違って聴こえるかもしれないし。

泉谷:そうそう。意外とこいつらいい男じゃないかとか、分かるかもしれないじゃん。

田家:今まで経験しなかったような野外イベントができますね。

泉谷:そういうことです。

田家:最後は新曲をお届けしようと思います。1週目の最初におかけしましたが、新曲です。「風の時代」。

Rolling Stone Japan 編集部

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