悲劇の死刑因、25年間にわたる「闘争と不条理」

死刑制度の根深い問題、グロシップとその他の囚人が起こした新たな訴訟

だが、現在繰り広げられているこの戦いはグロシップだけの戦いではない――残忍かつ尋常ではない刑罰とみなされているオクラホマ州の死刑制度の問題でもある。州は2020年3月に新たな手順を発表したが、グロシップを含む囚人たちはオクラホマ州に異を唱え、グロシップの最初の訴訟を無効にするよう立ち上がった。「オクラホマ州矯正局は文字通り、2014年の制度に何ら変更を加えていません」と、これら囚人たちの弁護人を務めるデイル・バイヒ氏はローリングストーン誌に語った。「2017年、オクラホマ州の特別委員会が死刑を抜本的に見直し、オクラホマ州の刑執行手順に対して複数の変更を勧告しましたが、矯正局はこうした変更を無視しました……オクラホマではいつものことです。つまり、我々は時計を2014年か2015年まで戻そうとしているわけです」 もっともわかりやすいのは、問題となった薬物ミダゾラムがいまだ混合されている点だ。

オクラホマ州矯正局の代理人はローリングストーン誌に対し、「係争中の訴訟に関してはノーコメントの方針です」と語った。

だが最近になって、受刑囚が自由に意見できるようになることが発表された。8月11日、ステファン・フリオット連邦判事はグロシップとその他受刑囚が起こした訴訟の審議を決定し、審議日程の協議を8月31日に設定したのだ。おそらく来年頭には公判が行われる見込みだ。判事の裁定が下されるまでは、受刑囚は刑の執行で3種類の薬殺刑――そのうちひとつはミダゾラム――または銃殺刑の中から、希望する手順を選択しなければならなかった。グロシップが選択したのは問題の薬物を含まない2つの薬殺刑だった。「どうやって死刑にかけられたいかを選ばせるなんて、酷ですよ」とナイト弁護士は言う。「筆舌に耐えません」

その間、グロシップは禅の心で希望を捨てずにいる――この四半世紀、彼はずっとそうしてきた。曲を作り、友人に毎日手紙をしたため、支援者の1人だった女性を新たにフィアンセとして迎えた。「よくあることですが、死刑囚に関しては一方の話しか聞かないものです。だから動物同然に扱われる」と彼は言う。「でも希望はある。僕を見てください、3回も死刑を免れたんですから」

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from Rolling Stone US

Translated by Akiko Kato

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