悲劇の死刑因、25年間にわたる「闘争と不条理」

被害者の遺族が願うもの

ヴァン・トレーズの遺族はローリングストーン誌のコメント取材に応じなかったものの、彼は「愉快な父親」で誠実なビジネスマンだった、と過去に発言した。「バリーの死で、私たち家族は何年もあらゆる痛みに耐えてきました」と、妹のアラナ・マイレトさんはTulsa World紙に宛てた声明でこう述べた。「ヴァン・トレーズ家は、オクラホマ州がこの事件で正義を果たしてくれたと確信しています……家族として、またアメリカ市民として、私たちには正義が果たされることを望む権利があります」


被害者のバリー・ヴァン・トレーズさん(裁判所資料)

ナイト弁護士と仲間たちも同じことを望んでいる――ただし、結末は全く違う。ナイト弁護士いわく、オクラホマ郡のデヴィッド・プラター地方検事は証人候補はおろか、最初に捜査を担当した刑事のメモ、付近のガソリンスタンドのビデオ映像、グロシップの嘘発見器の結果など、捜査中に集められた証拠の再調査請求を無視した。「彼の釈放を求めているわけじゃない。ただ捜査を求めているだけなのに」とナイト弁護士。

地方検事局はローリングストーン誌のコメント取材に応じなかったが、最近地元オクラホマのニュース番組で、ナイト弁護士と議員らに関する声明を発表した。「この殺人犯は憲法や法律で認められるあらゆる権利を行使し、使い果たしました。その間裁判にかけられ、州と連邦の両方で上訴裁判も行われました。いずれの裁判所も彼の主張を検証し、いかなる救済措置も却下しています」

名目上、グロシップが法的選択肢を使い果たした点に関してはプラター地方検事は正しい。2014年には恩赦も却下されている。「司法制度は現時点で、我々をかやの外に置いています」とナイト弁護士。「嘆願書を再提出することもできますが、2015年の時と同様、判決の究極性という概念や嘆願書を提出できる回数は制限されています。最後に残されたチャンスは恩赦審問会です」。ナイト弁護士いわく、グロシップは恩赦審問会が認められたはずだったが、恩赦仮釈放理事会のトム・ベイツ理事が訴えを却下したと言われたそうだ。

「ふつう恩赦審問会は1度しか認められません。恩赦が認められるか、刑執行かのどちらかだからです」とナイト弁護士。「最後の恩赦審問会と刑の執行日が6年も離れているなんていう状況は今までありませんでした」。とはいえ、不可能ではない。ナイト弁護士は今も、法廷に立つ日が来ると期待を抱いている。

Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE