煮ル果実が語る、新作ミニアルバムに込めた矛盾や葛藤への肯定

―完成した『POPGATO』は、煮ル果実さんにとってどんな作品になりましたか。

途中でお話したように、“全人類クリエーター時代”だと思っているので、これから何か作る人、作っている人には、このアルバムは必ず届いてほしいなと思っています。そうじゃない人には、純粋な気持ちで楽しんでもらいながら、日々自分たちが触れているもの、通り過ぎていくものへの何か気付きみたいなものがあるといいなというささやかな願いがあります。自分もまだ老熟するほど年を重ねているわけではないですけど、おそらくどんな人でもぶつかる壁に、ときには逃げてときには向き合ったから、こういうものが生まれたんだと思いますし、この次から出ていく自分の最高の作品たちへの橋渡しになるアルバムになったと思います。

―今後はどんな活動を考えてますか?

コロナ禍で大きく失われたことがあると思っていて。自分のライブを計画していたんですけどそれが中止になって、他のいろんなアーティストさんの大きなライブも中止になって、界隈全体の気分が落ち込んでしまったし、コロナ以前からあった心に残る特殊な熱みたいなものが、世界中から消えてしまったんじゃないかなって思ったんですよね。今、巷に溢れている音楽って、一部を除いてそういう熱がなくなってしまっているんじゃないかなって、自分は思っていて。だから自分は、制限がある中でも受け入れてもらえる音作りをしつつ、その奥底に、今まで以上に特殊な熱を込められるようにしていきたいなという意思があります。今後は、そういうところを大事にして、VOCALOIDで何か面白いことをしていきたいと思っています。



<リリース情報>



煮ル果実
『POPGATO』
発売日:2021年09月29日

=収録曲=
1. スパンコール
2. アランダーノ
3. サルバドール
4. アンチドート
5. ドクトリーヌ
6. アイロニーナ
7. ナイトルール

Twitter:https://twitter.com/vinegar_vinegar

Rolling Stone Japan 編集部

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