国旗はためく下に / 泉谷しげる
田家:色褪せない名曲、年々リアリティを増してくる曲。
泉谷:本当だねー。実はね、映画のタイトルから持ってきて、インスパイアされることが多いんですよ。だから、後々紹介するだろうけど、「翼なき野郎ども」はフランス映画の『墓場なき野郎ども』から来ているんですね。
田家:3週目に話が出ます。
泉谷:分かったよ(笑)。だから、例えば、「国旗はためく下に」は『軍旗はためく下に』。深作欣二の60年代の映画なんですね。あの映画を観て、戦争のしんどさとか、日本の国がやったことに対して、すごい怒りを覚えて。なんとかあの映画のような世界をぶつけられないかという想い、ずっと溜めているんだけどね。で、「国旗はためく下に」というタイトルが決まった瞬間、私は踊ってましたね。
田家:やったーって(笑)。これ良いタイトルですよ。
泉谷:良いタイトルでしょ。だから、これはやったー! と思いましたね。だから、外見大事だな。本当にね。タイトルでやっぱり聴きたくなるようなものばかり考えてますね。
田家:未だにこの「国旗はためく下に」というのは世界中に通用する歌になっています。
泉谷:そこまではどうだか分からないけど(笑)。
田家:これが73年9月発売で、25歳でしょう。
泉谷:うん、そうだね。老けてますよね。
田家:これはその頃の若者、泉谷さんだけかもしれないんですけど、いろいろなことがすごく分かってた、見えてたと。
泉谷:見えてたというよりも、良い意味での競争感がすごかったので。自分以外のアーティストで凄まじいやつばっかりだったので、生半可なものを出してもダメなわけで。拓郎もいれば、矢沢もいればさ、陽水もいればさ、かぐや姫もいればさ、めっちゃくちゃすごいのばっかりじゃん。だから、もう対抗意識ですよね。
田家:拓郎さん、陽水さんの話は来週です(笑)。
泉谷:分かったよ!(笑)。
田家:で、この来週は20代後半の話なんですが、30っていう年齢についてはその頃どう思ってました?
泉谷:30でロックをやめろって言われた向こうの言葉を気にして、みんなよく言ってましたね。
田家:30以上を信じるな。
泉谷:そんで、30になったら音楽もやめろみたいな。やめたやつはほとんどいませんけどね(笑)。
田家:泉谷さんはどんな30になったか。来週、再来週、その先もよろしくお願いします。
泉谷:はーい。