GSとカレッジフォークの仕掛け人・本城和治と振り返る、ジャンルを越えた名盤

恋人 / 森山良子

田家:1969年12月発売、森山良子さんの「恋人」。作詞が山上路夫さんで作曲が村井邦彦さんです。

本城:本当はナッシュビルでやるつもりはなかったんですよ。あくまでシングル用に作った曲で、ヨーロッパのポップスであるコード進行、要するに「枯葉」の進行ですね。こういうコード進行の曲は日本の歌にそれまでなかったので。

田家:シャンソンの「枯葉」の。

本城:そうです。そういうコード進行の曲を村井邦彦に頼んで。どっちかと言うと、ヨーロッパポップスのベースとメロディなので、これをナッシュビルでやるのは不安があった。でも、ナッシュビルのレコーディングが決まっちゃったんで、これもわざわざ日本でやらないで、一緒にナッシュビルでやろうってなったんです。ナッシュビルだし、おもしろい出来上がりになったのでよかったんですけどね。

田家:もっと評価されてよかったみたいなものはありますか?

本城:まあ、森山良子の『森山良子 イン・ナッシュビル』は結構話題になったんですが、ザ・テンプターズの『ザ・テンプターズ・イン・メンフィス』は意外と思ったほどではなかったんですよ。

田家:そういう意味では当時のGSのファンの人とか、GSの関係者の人にとっては関心が薄かった。

本城:テンプターズのファンとメンフィスはあまり考えが結びつかないですよね。

田家:そういうことに今だから光を当てるべきだというのが、今週の趣旨でもあります。今までお話をした2枚は海外録音だったのですが、次は多重録音。森山良子さんと言えば、従兄弟のこの人の話をしなければいけない。1970年2月発売、かまやつひろしさん『ムッシュー~かまやつひろしの世界』から「二十才の頃」。

Rolling Stone Japan 編集部

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