シティ・ポップの源流、70年代後半の名曲を本城和治と語る

サムデイ / フライド・エッグ

田家:1972年2月発売、フライド・エッグの「サムデイ」。この曲ではどんなことを思い出されますか?

本城:サムデイはアルバムの中では1番メロディアスでポップな曲だったので。

田家:作曲が、つのだ☆ひろさん。

本城:これもそうですね。つのだ☆ひろのセンスがよく出てるかもですね。

田家:さっきちょっと話に出ましたけれど、ニューミュージックという言葉をそういうシリーズで使われたんですね。

本城:そうです、そうです。要するに70年代、新しい音楽をやっていこうという意思。そのシリーズ名に込めたんですけどね。

田家:71年ですか?

本城:いや、70年の後半じゃないですかね。

田家:うわー。ニューミュージックの語源っていろいろあって、その中の1つに三浦光紀さんがベルウッド・レコード設立の企画書で使ったというのが定説になってますが。

本城:まあ、非常に使いやすい言葉ですよね。ある意味ではね(笑)。

田家:この方が早いという説が、今一つ明らかになりました。でも、GSをずっとお作りになっていた方にとって、GSがなくなっていって、こういう新しいロックが登場してくるというのはどんなふうにご覧になっていたんですか?

本城:まあ、時代の流れというか。結局、日本の音楽文化って海外にも非常に影響を受けているわけですから。ビートルズが消滅したのと、GSが消滅したのは同じ時期だったし。そういった意味では違和感はあまり感じてませんでしたしね。

田家:なるほどね。こういうのが新しいんだなと。フライド・エッグというのはどういうバンドとして残ってますか?

本城:うーん、これは結構趣味的なバンドでしたよね。実験的なこともあったし、非常に演奏的には達者な面があってなんでもできちゃう。結構ロックを使ったパロディみたいな、向こうのグループの真似というか、コードがね、音楽的な遊びですか。ちょっとダブルミーニングで一般には分からない言葉を引っ掛けて曲を作ったりとか。楽しみながらやっていましたね。

田家:この「サムデイ」の入ったアルバムのタイトルが『ドクター・シーゲルのフライド・エッグ・マシーン』ですね。

本城:ええ、そうですね。成毛くんが名ギタリストだったので、ギタリストとしての出番がなかったからかわいそうでしたけれども。

田家:僕は71年の箱根のピンク・フロイドの野外イベント、アフロディーテで観ました。

本城:ちょうど、はっぴいえんどと同じ時期だったんですよね。はっぴいえんどと真逆の音楽やってましたけどね。

田家:次の曲はですね、ピコ、樋口康雄さん。曲は「I LOVE YOU」です。

Rolling Stone Japan 編集部

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