チャーリー・ワッツ秘蔵インタビュー「僕がロックを一緒にプレイするのは彼らだけ」

ストーンズの仲間たちとの

キース・リチャーズは筆者に対し、彼がミック・ジャガーと今も一緒に演奏していること、そしてストーンズが何度も新たに生まれ変わって来られたことは、ひとえにチャーリーがいるからだと複数回にわたって語っている。ジャガーもまた、チャーリー抜きでバンドを続けていくことは考えられないと語っている。ローリング・ストーンズはブライアン・ジョーンズの他界、ミック・テイラーとベーシストのビル・ワイマンの脱退を乗り越えて活動を続けてきた。それが容易でなかったことは想像に難くないが、そんな彼らでさえ、チャーリーのいないローリング・ストーンズは想像できないという。チャーリーもまた、彼らに対して同じ思いを抱いている。「僕がロックンロールを一緒にプレイするのは彼らだけだ」

彼らの絆は、ストーンズのライブにもはっきりと現れている。共にステージ上を歩く彼らの姿からは、バンドの歴史とミュージシャンシップ、パーソナリティ、痛み、喪失感、喜び、勇敢さ、変化、そして何よりも重要な、粗野な男たちの友情が浮かび上がる。


今となっては、ブルースバンドとしてのルーツや悪名高さ、そして反骨精神という典型的なイメージと共に、バンドとしての歴史の長さはローリング・ストーンズのアイデンティティの一部となっている。それには代償が伴ったことはいうまでもなく、バンド内の人間関係がもはや修復不可能なところにまで来ていることを窺わせたのは1度や2度ではない。それでも彼らは、他の人間との間では生まれ得ないケミストリーと、個人の才能や名声とは関係なく生まれてくる神秘的な何かの存在を自覚している。

それでも、ミックとキース、そしてチャーリーの3人のオリジナルメンバーの誰一人として、神格化されたバンドとその魅力がこれほど長く続いている理由について、自らの考えを積極的に語ろうとはしない。しかし、オーディエンスを目の前にしている時は特にそうだが、全員が集うとその理由をはっきりと理解できることを彼らは知っている。

「僕らはものすごく恵まれてると思うよ」。チャーリーはそう話す。「オーディエンスはきっと、ミック、キース、ブライアン、そしてビルっていう男たちのコンビネーションに魅力を感じるんだと思う。彼らが一緒にステージに立つところを見たくて、ショーに足を運ぶんだ。最初は100人だったのが200人になり、やがて把握できないくらいの数になった。ミック・ジャガーやキース・リチャーズの一挙一動に、彼らは魅了されるんだ。理由はよくわからないけどね。キースの才能はよく知ってるし、ジェームス・ブラウンとマイケル・ジャクソン亡き今、ミックは世界最高のフロントマンだと思ってる。ステージ上の彼を見れば一目瞭然さ。そういう存在であり続けるために、彼はものすごく努力しているんだ。衰えをまるで感じさせないし、常に理想的な状態を維持してる。僕のソロ公演に集まるのは200人くらいだろうけど、ローリング・ストーンズがリハーサルをしてるっていう噂が流れると、それとは比べものにならないくらいの数の人がスタジオの外に集まってくる。本当に不思議だよ」

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From Rolling Stone US.

Translated by Masaaki Yoshida

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