チャーリー・ワッツ秘蔵インタビュー「僕がロックを一緒にプレイするのは彼らだけ」

チャーリー・ワッツ、2013年撮影(Photo by Andy Sheppard/Redferns/Getty Images)


長大なキャリアを支えた「指針」と「美学」

その日の午後、彼が語ったことの多くは「耐久性」についてだった。少なくとも著名なドラマーとしては、50年以上にわたって単一のバンドで活動を続けている人物を筆者は他に知らない。匹敵する存在があるとすれば、1924年から1974年まで活動していたデューク・エリントン・バンドだろうか。自分がバンドのドラマーとして史上最長のキャリアを誇っているという事実に、チャーリー自身も少し驚いている様子だった。「50年以上やってるドラマーは大勢いるよね」。彼はそう話す。「でも君のいう通りかもしれない。昔は『20年以上も一緒にやっているなんてすごいですね』なんて言われるたびに、『40年以上やっていてもデューク・エリントンに比べたらまだまだだよ』って返してた。もちろん、彼のバンドのメンバーが一定じゃなかったことは知ってるけどさ。彼のバンドじゃ、同じプレイヤーが何度も入ったり抜けたりしてたからね。僕が大好きなソニー・グリアは、20代の頃に彼のバンドでドラムを叩いてた。当時エリントンはドラマーを頻繁に変えてたんだけど、彼は1950年代までやってたから、30年近くバンドにいたことになるね。でも確かに、50年以上同じバンドでやってるドラマーは他に知らない」

それだけ居心地がいいということなんでしょうね。

「うん、そうだね。それに、僕はバンドでやるのが好きだから。僕はバディ・リッチのようなタイプじゃないし、ライブのために駆り出されるセッションミュージシャンだったこともない。いろんな所に出向いていって、初対面の人と一緒に音を出すっていうのは気疲れするんだ。僕はそれほど器用なタイプでもないしね。少なくとも3、4回一緒にライブをやるまでは、リラックスしてプレイできないんだ。ソニーもそうだけど、僕の好きなドラマーのほとんどは、バンドのメンバーとして長く活動してた。最近じゃそういうケースは少なくなったよね。ロイ・ヘインズなんかは、素晴らしいバンドにたくさん参加してる。レスター・ヤング、チャーリー・パーカー、ゲイリー・バートンなんかと一緒にやってたわけだからね。彼はスタン・ゲッツの素晴らしいバンドにも参加してた。(セロニアス・)モンクの『Five Spots』のひとつでもドラムを叩いてたんじゃないかな。彼が参加したコルトレーンのアルバム、『To the Beat of a Different Drum』も素晴らしいレコードだ。彼は今も現役でやってるけど、すごくいい人だ。若いプレイヤーから目標にすべき人は誰かと聞かれたら、僕はロイ・ヘインズだと答える。彼はいつまでも若々しくて、傲慢なところもまるでない。あの歳まで生きるプレイヤー自体がほとんどいないしね(ロイ・ヘインズは1925年生まれ、現在96歳)。でも彼とハグを交わすと、その逞しさに驚かされるんだ。彼はチャーミングで魅力的な、本当に素晴らしい人だよ」



「ローリング・ストーンズを始めた時点で、既に長く活動を続けているバンドはたくさんいたけど、気づけば僕らは誰よりも長いキャリアを誇るようになっていた。それは名声や運とは無関係だし、ストーンズが優れているということでもない。僕らは他のどのバンドよりも長く活動を続けている、ただそれだけのことだよ」

生涯を通じて力強いビートを休みなく刻み続けるチャーリーのような存在は他にいない、筆者はそう述べた。「それがドラマーの役目だからね」。彼はそう話す。「オーティス・レディングのライブに行ったことがあるんだ。彼は素晴らしいエンターテイナーだけど、サックスとかのソロの間に小休止を挟んでた。でも彼のバンドのドラマーは、ステージで絶え間なくビートを刻み続けている。ドラマーはそうあるべきなんだよ、バンドのエンジンだからね。だからショーがたくさん控えているときは、疲れ切ってしまわないよう気をつける必要がある」

「ツアー日程がまだ4分の1くらい残っている段階で、息切れしたり思うように手が動かなくなってしまうと本当に辛いんだ。考えただけでもゾッとする。若い頃は酒さえあれば大丈夫だったけど、今じゃそうはいかない。僕は常に先を見据えて備えるようにしていて、ジャズをプレイし始めた理由はそれが大きいんだ。単に好きだからというのももちろんあるけど、ツアーに出ていない間もドラムを叩いていたかった。2年間ツアーに出ては1年間の休暇をとるっていうのが僕らのパターンなんだけど、オフの間に体がなまってしまうのは良くないからね」

Translated by Masaaki Yoshida

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