チャーリー・ワッツ秘蔵インタビュー「僕がロックを一緒にプレイするのは彼らだけ」

チャーリー・ワッツ、2013年撮影(Photo by Andy Sheppard/Redferns/Getty Images)


トニー・ウィリアムスとキース・ムーンを語る

マイルス・デイヴィスのバンドにいた若き日のトニー・ウィリアムスを観た時のことについて、チャーリーはこう語る。「彼のスタイルはまさに唯一無二だった」。筆者がトニーにインタビューした際に、彼が最大のインスピレーションはキース・ムーンだと語っていたことを伝えると、チャーリーは驚いた様子で目を見開き、体を大きくのけぞらせてこう言った。「それは驚きだね」

筆者自身は納得できたのだが、「僕には理解できないな」とチャーリーは言った。「キース・ムーン、彼は強烈な個性の持ち主だった。唯一無二の存在で、彼のことは僕も大好きだったし、懐かしく思うこともある。チャーミングで愛すべき男だよ。ただ……」

短い沈黙を挟んで、チャーリーは吐息をついた。「でも彼には理解しがたいところもあった。とてもね。3つくらい人格を持っているように感じることもあったよ。彼も一時ロサンゼルスに住んでいたんだけど、当時の彼は何かとクレイジーだった。2人で会った時に、彼はチョコレートで覆った蟻が入った容器を持ち歩いていて、僕に食べさせようとしたことがあってさ。彼にはそういう、少し変わったところがあったってことだよ。でも根はすごくいいやつだし、彼とはウマがあったね」

チャーリーは頭を振り、ムーンの思い出に顔をほころばせた。「彼とピート(・タウンゼント)のコンビはスリリングだった。ピート以外のプレイヤーとの相性がどうだったかは分からないけどね」。彼は笑ってそう付け加えた。「彼とはやりにくいと思ってた人は多いんじゃないかな。彼はリズムキープが抜群というわけでもなければ、ファンキーなタイプでもなかった。彼はとにかく孤高の存在で、トニーはそこが好きだったのかもしれないけど、とにかく意外で驚いたよ。僕は彼のアイドルはロイ・ヘインズだろうと思ってたから」




「トニー・ウィリアムス自身もすごくいい人で、逝去する直前にも素晴らしい作品を書いてた。彼はプレイするだけじゃなく、作曲にも積極的だった。素晴らしい作品をたくさん残してるんだ。彼は18歳の時にマイルスのバンドに入り、音楽史に名を残す存在になった。18歳当時の彼のプレイを僕がロンドンで初めて観た時、黒いドラムキットを操る彼のパフォーマンスのオリジナリティに衝撃を受けた。彼が逝去した後、Catalina’sでロイ・ヘインズのライブを観た時に、ふと彼の姿がトニーと重なったんだ。彼が60年代にマイルスのバンドのメンバーとしてロンドンに来た時、さっきも言ったけど、唯一無二の彼のプレイに誰もがぶっ飛ばされた。ライドシンバルの使い方ひとつ取っても独創的だった。彼がラリー・ヤングとジョン・マクラフリンとやってたバンド、ライフタイムのライブも観たよ。ミック・テイラーと一緒に行ったんだけど、3人の演奏は本当に素晴らしかった」

Translated by Masaaki Yoshida

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