甲本ヒロトが語る「あきらめる力」と「夢は叶う」の意味

―そういえば、「楽器ができないからボーカルになった」とおっしゃってるのを見たことがありますけど、ブルースハープは今回の「ドライブ GO!」をはじめ色んな曲で昔から吹いてますよね。ブルースハープに関してはすごく努力をされたんじゃないですか?

もともと僕がブルースハープを練習したきっかけが、70年代のロンドンのパブロックだったんです。例えばドクター・フィールグッドのリー・ブリローとか、ルー・ルイスが吹くハーモニカとかがカッコイイんですよ。それを聴いたのが高校生の頃で、その頃にはもうブルースにも興味があって、リトル・ウォルターのハーモニカなんかも聴いてたんです。でも自分で吹くのはむずかしそうだな、どうすればいいんだろうなって。教則本なんかもないし、何もわからなくて。曲のキーがAならばハーモニカはDを使うとか、そんなの高校生で初めてハーモニカ持ったらわからないよ。そんな状態だけどすごくハーモニカが吹きたかったから、楽器屋さんに行って「ブルースハープ」を買ったんです。


甲本ヒロト photo by 柴田恵理

それが「ホーナーHOHNER)」だったんだけど。キーもわからないから、基本的な「C」を買って。それ1本だけで、ドクター・フィールグッドのリー・ブリローのハーモニカは力任せに吹いてるみたいだから、「これなら近づけるかもしれない!」と思って、ドクター・フィールグッドのレコードをずっとかけっぱなしにして、吹いてみたんだけど、キーが違うから合わない()。ただ、何曲かだけは雰囲気が出るという曲があって、それに合わせて吹きまくってた。そのうち、ハーモニカというのは「吹く」んじゃなくて「吸う」んだって気が付いたんです。そこからちゃんと練習するようになって、フェイクとかベンドとか、今なら名前はわかるけど当時は何もわからないテクニックを身に着けて行ったんですよ。だから、今でもその感覚が残っていて、ドクター・フィールグッドを聴くと、ハーモニカを吹きたくなる()。そこが自分の原点なんですよ。

―やはりハーモニカに関しては、かなり練習、努力して身に着けたんですね。

ハーモニカに関しては、練習してる記録が自分の中にありますね。最初はずっと力任せに吹いていて、それこそハーモニカが潰れちゃって、指や口から血だらけになって。

―ええ~!?

だってやり方がわからないから、力任せにやるしかないんだよ。そうやって練習してきた自分の記録があって。ちょうどブルーハーツのどこか途中のあたりで、違う練習方法を自分で編み出したんですよ。ごめんね、こんな話で。

Rolling Stone Japan 編集部

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