米女優の変死、ポルノ業界の「病巣」と薬物依存

ダコタ・スカイことローレン・スコット(Photo by Gabe Ginsberg/FilmMagic)



ポルノ業界が彼女のためにできたこと

実際のところポルノ業界は彼女に対して――助けることはできないにしても――依存症克服をもっとサポートすることができたのではないか。この点に関して、スカイと親しい人々の間では意見が割れている。「問題を抱えている人がいたら、手を差し伸べるでしょう。助けがいらないと言われたら、他に手の出しようはありません」とオバーン氏は言う。「リハビリ施設に入れ、本人が自主退院したら、こちらはやれるだけのことはやりました。それが助長と言うなら、本人が問題の原因をこっちに責任転嫁しているんです。おそらく業界は彼女を長く手元に残しておきたかったでしょう。もっと彼女に生きていてほしかったはずです。彼女をリスペクトしていましたし、助けが必要なときは自分たちがそばにいることをわかってほしかった。ただひとついえることは、業界は必要なものを買う金を彼女が手に入れられるようにしてやった、ということです。それ自体は悪いことじゃない」。Pineapple Supportのレイア・タニットCEOは、スカイのようなオンラインで活動するセックスワーカー向けの支援団体を運営する上で、個々にアプローチすることがとくに難しい点だ、と語る。「リソースを提供して、彼らの力になることはできます。でも彼らに助けを求めるよう強制することはできません。そこがとくに歯がゆいところですね」と彼女は言う。「本当に助けが必要な人もいますが、助けが必要だと感じていない人もいます。残念ながら(スカイの場合は)後者だったんでしょう」

だが一方で、違った見方をする人もいる。ダコタ・スカイは問題を抱えた若い女性で、業界は使い物にならなくなるまで彼女から搾り取ったのだ、と彼らは言う。使い物にならなくなれば、あとはお払い箱。そうしたシナリオはポルノに限ったことではないが――確かに同じようなことは、はるか昔からハリウッド女優にもあった――風俗特有のレッテルゆえに、困った人々が余計にサポートを求めにくくなっている。ダコタと親しかった人々は「(彼女を助けようと)できることは何でもしました」とエヴァンス氏は言う。「ダコタは助けを受けることもあれば、拒否することもありました。ダコタのような状態だと、結局は本人次第なんです――監督はそういう俳優を起用するべきじゃありません。本来はそうあるべきですよ、周りの人間があらゆる手を尽くして助けようとしても支援がないんですから」

スカイの死後、ブラッドリーさんとエヴァンス氏は募金活動を始めた。アルコール中毒や薬物中毒、精神疾患の問題を抱えるポルノ関係者を支援する、ダコタ・スカイ基金設立に向けたものだ。取材した人々の中には、撮影現場で同意書を提供できないほどぼろぼろになった俳優に、ドラッグ検査を義務付けるという案を提案する人もいた。だがセントジェームズ監督は、こうした措置を業界全体で実施することに懐疑的だ。「嗜好目的でのドラッグ使用はそこらじゅうで見られます。もちろんこの業界以外でも」と監督。「ハリウッドでドラッグ検査をやれば、そりゃあ大問題になるでしょう」

葬儀の席でブラッドリーさんは、スカイが依存症に苦しんでいた時期に彼女を利用し続けた業界関係者に向けてこうスピーチした。「作品に貢献する若い女性を犠牲にするポルノなど、受け入れがたいことです。俳優としても、監督としても、エージェントとしても、ファンとしても受け入れられません。あまりにも犠牲が大きすぎます」と彼女はスピーチした。「ダコタはごく最近の例です。ですが私たちが何もしなければ、きっとまた数カ月後、数週間後、あるいは数日後にこうして集まって、また1人この世を去った若い女性を偲ぶことになるのは間違いありません。もっとできるはずです。もっと手を尽くさなくては」

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from Rolling Stone US

Translated by Akiko Kato

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