米女優の変死、ポルノ業界の「病巣」と薬物依存

ダコタ・スカイことローレン・スコット(Photo by Gabe Ginsberg/FilmMagic)



母親・祖父母・愛犬の死

スカイの友人や遺族によれば、彼女はポルノ業界に入る前から依存症や精神疾患を抱えていたそうだ。第一彼女はポルノ業界での仕事を楽しんでいたし、ポルノ業界でたくさんの友人や恩師と出会えた。だがポルノ俳優はたいがい個人事業主なので、えてして健康保険や厚生福利は受けられない。ましてや依存症や精神疾患の患者のための正式なサポートシステムもない。ごくわずかだが、セックスワーカーを主な対象として活動する団体もある。そのひとつが、全米でセックスワーカーにセラピストを斡旋するPineapple Supportだ。だがエヴァンス氏とブラッドリーさんによれば、スカイもPineapple Supportに助けを求めたが、何の返答もなかったそうだ。「私たちみんながダコタを助けようと努力しました」とエヴァンス氏。「ですが彼女に関する限り、たとえ依存症を助長しなくても責任はあります」(Pineapple SupporttのCEOを務めるレイア・タニット氏はこれに反論し、2019年にストーカーから逃げたいと助けを求めるスカイのツイートを見て彼女に連絡した、と述べた。本人から大丈夫だと念を押されたあとも連絡してみたが、彼女からは何の返答もなかったそうだ)。友人や遺族の話ではスカイは業界に入る前から問題を抱えていたが、その一方で精神疾患に悩む人向けの組織的サポートはポルノ業界にはない。「たっぷり稼ぐことができるので、この業界に入ってくる人は後を絶ちません」とエヴァンス氏は説明する。「時には稼ぐこともあるでしょう。でも時にはダコタのように、抱えている問題が助長されるだけです」

COVID-19パンデミック中、認可を受けたポルノ映画撮影も数カ月間閉鎖に追い込まれ、他の俳優たちがみなそうであったようにスカイにとっても2020年は大変な1年だった。だが彼女の場合、個人的に悪いことがいくつも重なってさらに輪をかけた。2019年、長年アルコール中毒だった母親が肝不全で死亡。祖父母2人はCOVID-19に感染してこの世を去り、愛犬エリーも亡くした。2020年5月、非公開の軽罪で彼女は午前3時に逮捕され、ヴァンナイズ拘置所に拘留された。その年の初春にはエスコート嬢の仕事をポルノ業界のゴシップブログで暴露され、ジョージ・フロイドさんの壁画の前で乳房を露出した写真をInstagramに投稿してソーシャルメディアで叩かれた。「ああ、ダコタはハイなんだな、としか思いませんね」。問題の投稿についてエヴァンス氏はこう言った。「素面の彼女はこんなことしません」

死の前夜、スカイは恋人と同棲していた家を出て、複数の友人や広報担当者に電話をかけて泊めてもらえるかと尋ねたが、全員から断られた。「彼女はFBIとマフィアに追われていると思い込んでいました。ヘルズ・エンジェルスのバイカーになるんだと言っていました。完全にハイでしたね」とブラッドリーさん。彼女はバレーからロサンゼルスのスキッド・ロウまで1時間かけて歩き、午前2時30分にホームレスの男性のトレーラーにたどり着いた。ローリングストーン誌はロサンゼルス警察に調書の公開を求めたが、断られた。だが捜査官と長時間話をしたルコント-ゴーブルさんによれば、ホームレスの男性の話ではスカイは何やら吸引してからソファにうずくまり、そのまま眠りに落ちたそうだ。彼女が目を覚ますことはなかった。

Translated by Akiko Kato

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