米女優の変死、ポルノ業界の「病巣」と薬物依存

ダコタ・スカイことローレン・スコット(Photo by Gabe Ginsberg/FilmMagic)

米ロサンゼルスで最も治安の悪い地区、スキッド・ロウで人気ポルノ女優として知られるダコタ・スカイの死体が発見された。ハリウッドのセレブリティとパーティ三枚だった彼女の身に何が起こったのか?

2021年6月9日、スキッド・ロウ地区のトレーラーにいた男性から警察に通報が入った。男性によれば、その日の未明1人の女性が立ち寄って、ここで一休みさせてくれないか、と頼んできたという。彼は頼みを聞き入れ、彼女にソファを譲った。だが夜が明けて確認しに行ってみると、女性は息をしていなかった。

女性の名前はローレン・スコット。カラオケとヒラリー・ダフが大好きで、一度は海洋生物学者になりたいと夢を抱いたこともある彼女は、ダコタ・スカイという名前で知られていた。8年前、小柄で亜麻色の髪をしたスカイは19歳でポルノ業界に足を踏み入れ、以来300本近いポルノ作品に出演した。死亡時は27歳。小柄な体格と日常的な愛らしい顔立ちのおかげで、主に10代の役柄を演じていた。

ロサンゼルス郡検視局によれば、スカイの死因はいまだ断定されていない。当局はローリングストーン誌に対し、事件解決までは彼女の死に関する資料の公開を拒んだ。だがポルノ業界では彼女が薬物依存症に悩まされていたのは有名な話だった。死亡時、彼女はホームレスだったという報道があったが、それは間違いだ。彼女は夫と別居し、カリフォルニア州ウッドランド・ヒルズで恋人と同棲していた。だが、かつての栄光からはすでに転落していた。

ポルノ業界の頂点を極めていたころのスカイは、業界トップクラスのエージェントをつけ、数百本ものDVDの表紙を飾り、2015年には栄えあるAVN最優秀女優賞にノミネートされるなど数々の賞に名前が挙がった。だが近年は出演機会も減り、ソーシャルメディアの話題は警察沙汰や(2017年には家庭内暴力で逮捕。のちに起訴は取り下げられた)突飛な行動が中心で、ごく最近も、2021年5月にジョージ・フロイドの壁画の前で胸をさらけ出した。また薬物とアルコールにおぼれ、何年も依存とリハビリを繰り返し、借金をしては仕事がないかと尋ね回っていた。「業界ではとても有名だったんですよ」。スカイの友人で、のちに彼女の指導者となるポルノ女優のキアナ・ブラッドリーさんはこう語る。「他に行くあてがなかったがゆえに、他人の車の中で、見知らぬ男のそばで死んだんです」

【写真を見る】キアナとダコタ・スカイ

スカイがここ数年ポルノ業界で活躍していなかったことから、ポルノ業界の中には体裁を気にして、彼女とは慎重に距離を置いていた者もいる。彼女の物語は悲劇だが、とはいえポルノ関係者に限らず、この街では決して珍しい話ではない、と彼らは言う。「依存症の問題を抱えている人間が過剰摂取で死んだ。ロサンゼルスでは日常茶飯事です とある内部関係者は筆者に語った。「結局のところ、薬物の問題を抱えた哀れな人間が死んだ、ということです」

Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE