人間椅子が語る、欧州公演やコロナ禍を経て、シンプルな一体感で伝えたかったこと

「神々の行進」は誰かプロレスラーの入場曲に使ってくれないかなあと思ってます

―今作は人間椅子サウンド特有のおどろおどろしさが控えめで、全体的に割とカラッとした印象があるんですが。

和嶋:ライブがやれていなかった分、お客さんの前で演奏したいっていう気持ちが無意識のうちに働いた気がするんだよね。掛け合いが多いのもそういう理由なんじゃないかなと思って。掛け合いがあることでヘビーな曲も全体的に明るく聴こえるし、我々がお客さんと一緒に演奏しているような一体感がどの曲にも表れているんだと思う。だから、曲調もヒネりを減らしたものになってると思うんですよ。

―確かにわかりやすいフックが多いですね。

和嶋:それは、お客さんと掛け合いをしたいという気持ちと、ヨーロッパツアーに行ってみて、単純なフレーズに単純な言葉を乗せると海外の方にウケるんだなという手応えがあったので、それも意識したところはあるかもしれません。

―歌詞は難解な部分もありつつ、サビには必ずわかりやすくてフックになる言葉が入ってますよね。

和嶋:そう、AメロBメロで難しいことを言ってるんだけど、サビは聴いて意味がわかる言葉にしないとダメだろうなとこれまで以上に思いました。

―「杜子春」「疾れGT」「至上の唇」といった楽曲はそういうタイプですよね。

和嶋:「至上の唇」は鈴木くんが書いたモーターヘッドみたいな曲に、ノブくんにしか歌えない歌詞を乗せてみました。



―たしかにノブさんぽい歌詞だと思います。

ナカジマ:僕が入って最初に参加したアルバムが『三悪道中膝栗毛』で、そこで歌わせてもらったのが「道程」という曲だったんですけど、あれも研ちゃん(鈴木)が曲を書いて、和嶋くんが詞を書いて、僕が歌ったんですけど、あれと同じことをできたのがうれしくて。最初の衝動が再び湧き上がってくるような感覚がありました。早くライブで歌いたいですね。

―先ほど、アルバムに1、2曲いいと思えるものがあればいいというお話をされていましたけど、今作だとそれはどの曲になるんですか?

和嶋:そう言われるとね、今回はよくできたと思う曲がけっこうあるんだよね。どの曲にもフックがあるし。気に入ってる曲を挙げるとするなら、「杜子春」と「夜明け前」。「夜明け前」は、「絶対に朝はあるよ」ということがアルバムを聴いた人に伝わればいいなと思って書いた曲なのでアルバムに入れられてよかったし、「疾れGT」という自分の趣味の曲を入れられたのも楽しかったな。この曲の途中でバイクのエンジン音が入ってるんですけど、レコーディングの合間を縫って自分のバイクの音を録ったんですよ。GoProとスマホとICレコーダーで録って、その中から一番いい音を使いました(笑)。







鈴木:「疾れGT」はいい曲だと思うからライブの1曲目にやりたいね。あと、「神々の行進」は誰かプロレスラーの入場曲に使ってくれないかなあと思ってます。



ナカジマ:僕は敢えて挙げるなら「恍惚の蟷螂」と「夜明け前」ですかね。ドラムを叩きながら楽しい気持ちになりそう。



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