歴代最高のメタルアルバム100選|2021上半期ベスト

25位 - 21位

25
メタリカ
『Metallica』 1991年

誰にも媚びることなく頂点に立つ

メタリカはキャリア10年目にして、初のNo.1アルバムを生み出した。アイコニックなリフが脳裏に焼き付くダークな「Enter Sandman」、重苦しくもパワフルなバラード「The Unforgiven」、カーク・ハメットによるシタールのようなギターが印象的な「Wherever I May Roam」、そして新鮮味のあるアコースティックギターがリードする繊細な「Nothing Else Matters」等、本作にはバンドの代表曲が多数収録されている。「俺たちは誰にも媚びることなく頂点に立った」。アルバムの発表に際し、ドラマーのラーズ・ウルリッヒは本誌にそう語っている。「俺たちは俺たちのやり方を徹底的に貫いた。そのことについては自己満足を覚えてるし、この業界におけるビジネスのセオリーと、80年代半ばから俺たちが耐え忍んできたあらゆることに中指を突き立ててやった気分だ」B.S.



24
レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン
『Rage Against The Machine』 1992年

バンドが好きなようにやった末の成功

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンが1992年発表のデビューアルバムでシーンに衝撃をもたらした時、その反響に誰よりも驚いたのは発売元のレコード会社だった。「レコード会社の人間は俺らのことをこれっぽっちも理解してなかったけど、俺たちの思うようにやらせるのが一番だってことだけは分かってた」。トム・モレロはそう語る。ヒップホップをメタルとパンクと融合させることで生まれた「Killing In The Name」「Bullet In The Head」「Bombtrack」、そしてブラック・サバスを彷彿とさせる「Freedom」等の強烈なインパクトは、現在でも少しも薄れていない。「俺たちの音楽はロックやヒップホップのリスナー、パンクやメタルのファン、そして活動家たちの本能にアピールし、それはあっという間に世界中に広がったんだ」 A.G.



23
ダンジグ
『DANZIG』 1988年

黄金時代の到来を予感させた1st

「アグレッシブさやアティテュード等、彼がバンドに求めるものは俺のそれと完全に一致してたからやりやすかった」。パンク界で活躍していたアンダーグラウンド・ヒーロー、グレン・ダンジグは本作のプロデューサーであるリック・ルービンとの仕事についてそう語っている。しかし本作を普遍的たらしめていたのは、エルヴィスやボー・ディドリーといった自身のアイドルに近づこうという意図が見て取れる秀逸な楽曲群だった。PMRCの顔であるティッパー・ゴアを標的にした「Mother」はハイライトのひとつだが、デス・ブルースというべき快活な冒頭曲「Twist Of Cain」、奇妙なパワーバラード「Soul On Fire」、鬱を克服してバイク乗りになる男を描く「Evil Thing」等も決して見劣りしない。H.S.



22
モトリー・クルー
『Too Fast For Love』 1981年

圧倒的オリジナリティとエネルギー

ベーシストでメインのソングライターであるニッキー・シックスは、スウィートやデヴィッド・ボウイといった70年代のグラムロックのアーティストにインスパイアされつつ、パンクのエネルギーと男性ホルモンをふんだんに盛り込んだ独自の音楽性をデビューアルバム『Too Fast For Love』で確立。「『Too Fast For Love』は俺たちのお気に入りのレコードだった。すごく生々しいからね」ギタリストのミック・マーズはかつてそう語っている。「あれはもともと、レコード会社にプレゼンするためのデモ音源だったんだ」。自主レーベルからのリリースでありながら大きな話題となり、のちにElektraから再発売された本作は、全米各地でフォロワーを大量に生み出し、サンセットストリップは彼らの聖地となった。A.G.



21
メタリカ
『...And Justice For All』 1988年

80年代に追求し続けたスタイルを集約

1988年に発表された『...And Justice For All』で、メタリカは数多くのブレイクスルーを達成する。バンドにとって初のダブルアルバムであり、新加入のジェイソン・ニューステッドがベースを弾いている(中域を強調したミックスにほぼ埋もれてしまっているが)。本作は、バンド史上初めてBillboardのトップ10入りを果たすとともに、反戦を唱えた「One 」(バンド初のミュージックビデオも制作)はシングルチャートでもトップ40に初めてランクインした。「The Frayed Ends Of Sanity」「To Live Is To Die 」、そして約10分におよぶ「..And Justice For All 」等を収録した本作は、バンドが追求したプログレッシブなスラッシュの到達点であり、次作での音楽性の変化のきっかけにもなった。「それまでの方向性を極限まで突き詰めたレコードだった」とラーズ・ウルリッヒは語る。D.E.



Translated by Masaaki Yoshida

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