The Floorが語る、作曲者脱退の危機を乗り越えて完成させたミニアルバム

ーササキさんの作詞曲だと5曲目の「雨中」はいかがでしょう?

ササキ:ほぼ実体験そのままなんです。恥ずかしいので、聴いている人には僕を思い浮かべてほしくないんですけど(笑)。自分がもう一緒にいれなくなった人と過ごした日々を思い返して、印象に残っている風景がAメロになっていて。それ以外のところは「なんでこんなことをしてしまったのか」、「もっとこうしていればよかったのにな」という想いをそのまま書いた歌詞です。例えば、別れた女性のことを忘れるのはどうか? という問題があって。完全に忘れてしまった方がいい派と過去があるから自分という人間がいる派の人間がいて。

ミヤシタ:パソコンに置き換えて考えると、上書き保存か、名前をつけて保存みたいな感じだよね。

ササキ:そうそう。僕は名前をつけてガチ保存して、フォルダにめちゃめちゃ分けているタイプで、しっかりバックアップをとっているので(笑)。だからこそ、忘れたくないし、忘れられないので、歌詞にしたんです。今まで変に言葉を繕ってしまうタイプの人間だったので、「伝えたいことが伝わってないのでは?」と自分で思ったんです。どういう言葉が伝わるのかなと思って、いろいろな音楽を聴いていた時に、結局ストレートな言葉が1番だと気づいた。曲で何が言いたいのか、しっかり伝わる歌詞にすることが、今回のテーマの1つになっています。だから、「雨中」も一聴していただければ失恋の曲と分かるぐらい、素直に自分のことを書きたかった。「僕はこういうことを思いましたよ、あなたはどうですか?」という投げかけでありたい。その上で聴いてくれた人は曲のどこかに自分を投影して、1つの物語として聴いてほしいと思っています。



ー7曲目「24」は駅の名前なんですか?

ササキ:札幌に地下鉄南北線があって、僕の地元の近くに北24条という駅があるんです。この曲はコロナになってから歌詞を書きました。その時、ちょうどコロナが若干落ち着いていた時で。東京に出ていた友だちが仕事で一旦札幌に戻ってきていて、「飲みに行こうぜ」という連絡があったので、北24条駅の焼き鳥屋で2人で飲みました。高校からの友だちに会って、2人で飲むこと自体がコロナ禍でほぼなかったので、友達が帰るってなった時にすごくさみしくなって。今までは僕らもライブで東京に行ったり、友だちも度々帰ってきていたので何ヶ月に一度は会えていた。でも、コロナの状況だったら、本当にいつ会えるか分からないので喪失感に襲われちゃって。それをそのまま歌詞にしたのが「24」です。地元では北24条駅を略して「24」(ニーヨン)って言うんです。大切な人とまた会えるように願った1曲を書きたかった。

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