松本隆トリビュートアルバムを亀田誠治とともに振り返る



田家:トリビュートというのはこういうことだ、というのを聞かせていただいた感じがしますね。誰もが聴いておや? と思ったのはイントロでしょうね。

亀田:原曲のエンディングをイントロに持ってきて。これは、音楽は循環してバトンを渡されていっているよということを伝えたかったんです。大滝さんや松本さんたちがスタジオで本当に楽しそうに曲を作っている、僕の推測の絵が見えるんです。だからきっと、先輩たちが楽しんでやったであろう部分はちゃんとリスペクトして曲の中に取り入れようというのと、ジャッジャ、ツッジャジャみたいな大事な曲の仕掛けは原曲通りに残していて。やっぱりこの曲自体が、大滝さんが吸収した様々な洋楽やそこへのオマージュが入っている。その心を込めて作ったオマージュに対しても僕は敬意を払いたいというのもありました。その中で、原曲のアレンジを最大限に生かしつつ、じゃあそれを川崎鷹也くんが歌う場合にはどういうサウンドにするかということを、ちょっとずつ工夫していったというか、自分なりに検証していった部分があります。

でも、一番は歌の聴こえ方ですね。大滝さんの歌う物語性、ロマンティクな感じや広がりというのを、川崎鷹也さんのようなこれからさらに羽ばたいていく人にどうステージを用意していくかを考えて。大滝さんは原曲だと、ダブルと言って、同じ歌を二回歌ってそこの滲みや広がりが大滝さんの優しさやしなやかさを生むんです。川崎くんの方から「亀田さん、これダブルにしなくていいですかね?」と言われたんですけど、「君の歌はダブルにしないでシングルで大丈夫だから。その方が松本さんの歌詞も伝わるし、川崎くんが表現したいニュアンスも伝わっていくよ」という風に話したのも覚えています。

田家:見えてくる景色が違いますもんね。天然色がセピアになった感じがあります。

亀田:ありがとうございます。

Rolling Stone Japan 編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE