地下室の人食い殺人鬼、出会い系アプリに潜む恐怖|2021上半期ベスト

ケヴィン・ベーコンさんが地下室で遺体で発見された数日後の2020年1月上旬、マーク・ラタンスキーの自宅を囲む警察の立入禁止テープ(Photo by Ryan Garza/© TNS/ZUMA)



「変な男から逃げている、地下室で縛られた。追われている」

カールセンさんの事件から6週間後の11月25日の午後、29歳の男が同じ家から逃げ出し警察に通報した。ラタンスキーの革製の腰巻を履いて逃げる男の後をラタンスキーが追う。「変な男から逃げている、地下室で縛られた。追われている」と群が公開した録音で男はオペレーターに言った。(名前は伏せられていた)

その後すぐに近隣住民の家に駆け込み、警察に住所を伝えたいと頼む男の声が録音されている。

住民の家に州警察が駆けつけたが、またもや不起訴に終わった。(ラタンスキーが追いかけていたのは腰巻が高価だったからと州警察は後日地元紙に説明)監禁され逃げているという決死の通報があったにも関わらず、大ごとにしたくないだろうと、警察は真剣に取り合わなかった。

州警察はその夜のことを隠したい2人が起訴しないと判断したため、自分たちに出来ることはなかったと主張。「大ごとにしたい人は誰もいません。誰も警察沙汰なんて望んでいないんです。このような人たちの多くには職場での顔とプライベートでの顔があり、その2つを交わらせたくありません。プライベートの秘密は絶対に守られなければなりません」とミシガン州警察デヴィッド・カイザー警部補が2020年1月に述べた。(現在カイザー氏は退職しているが警察の公式見解は変わっていないと代表は言う)

カールセンさんの弁護人を担当するジョン・マルコ氏はこの説明を批判。「そんなわけがありません。警察に来て欲しいから呼ぶんです。でなければ呼びません」

ミシガン州警察を相手にした裁判で複数回弁護人を務めたことがあるマルコ氏によると、カールセンさんは交通費も帰る手段もないままガソリンスタンドで降ろされ、事情聴取も行われなかった。彼がゲイ男性でなければ対応は違っただろうと述べている。

「より深く調査、より行き届いた対応をすべきだったんです。警察が基本的な対処、対応をしていれば事態は変わっていたはずです。ベーコンさんも生きていたでしょう」と言うマルコ氏にベーコンさんの友人たちも同意する。「なぜその時(ラタンスキーを)調べなかったのですか? ゲイの男たちが地下室で何かしているだけだったからですか?」とマイヤーズさん。ベーコンさんの死後、彼女の友人が挙げた点について語る。「もし地下室で縛られて逃げ出したのが女の子だったら? もし彼女が気にしなくていいと言っても、警察はそれでも(きっと)調査していたでしょう」

「同棲している人や交際関係にある人たちの間で起きた問題だと州の判断で起訴出来る場合もありますが、会ったばかりの人たちや一夜限りの関係だとそうもいきません」とDV事件を扱うウェイン群のトリッシュ・ジェラルド検事は言う。「交際関係の定義に州議会は長い時間を要した」ことに加え、カールセンさんやもう1人の被害者の男性のようにマッチングアプリを通して知り合ったような間柄では強制捜査や逮捕に至らないと語った。

しかし、シアワシー郡検事スコット・ケーナー氏によると、今回のような見知らぬ人による暴行事件の際、警察は被害者に訴訟を起こすよう説得することが出来る。「(警察は)出来る捜査はすべきですが、被害者が起訴しない以上、それには限りがあります。さらに、警察は被害者の意見を尊重し、彼らが求める対応と加害者を罰したいという世間の声とのバランスを取らなければなりません。その手段の一つとして、捜査に協力してもらえるよう被害者を説得します」

Translated by Mika Uchibori

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