ジョン・メイヤーがTOTOに大接近? 「現代三大ギタリスト」の80s路線に迫る

80sサウンドに接近した理由

なぜメイヤーは今になってこのようなプロダクションに挑んだのだろうか。原因としてはレコーディングの変質が考えられるだろう。かつてレコーディングがテープで録音されていた時代、録音されたバスドラムとベースは音色の境界線がぼやけて一体化した低音と化していた。実はそれがロックやR&Bのコクのあるグルーヴを生み出していた。

しかしハードディスク・レコーディングが主流になると、音色が忠実に録音される一方、低音の境界線ははっきりしたままになってしまった。加えて再生機器のデジタル化がそれに拍車をかけた。つまり従来の王道ロック・アレンジでは、かつての躍動感を生み出せなくなってしまったのだ。

こうした問題を克服する方法はふたつ考えられる。ひとつは意図的に荒っぽく録音して躍動感を生み出す方法だ。その典型作が、ジョン・メイヤーとともに「現代三大ギタリスト」のひとりとされているデレク・トラックスを擁するテデスキ・トラックス・バンドの最新作『Layla Revisted』。同作はエリック・クラプトンが1970年にデレク・アンド・ザ・ドミノス名義で発表した『いとしのレイラ』を全曲ライブ・レコーディングで再現したものだ。



そしてもうひとつが、音色の境界線が出来てしまう現実を受け入れながらモダンなロックを構築する方法である。以前から音数を絞り込んだストイックなアレンジを好んでいたメイヤーは後者のアプローチを選び、80年代ロックのビッグなエコーサウンドに辿り着いたのだろう。つまり同じようにクラプトンを敬愛する立場でありながら、トラックスは70年代、メイヤーは80年代のクラプトンに学んだことになる。

これだけ読むと、「メイヤーってロックの伝統を軽視してるんじゃないの」という意見が出てきそうだけど、寧ろ逆だろう。なにしろ本作の共同プロデューサーは、過去作『Born and Raised』『Paradise Valley』でも組んでいたドン・ウォズ。ヒップホップがシーンを侵食していった時代に、ローリング・ストーンズやボニー・レイットといったベテランにヒットアルバムを生ませたルーツロッカーの守護神のような人物なのだから。



またウォズが制作に絡んでいない「New Light」にも注目してほしい。80年代のプリンスが愛用したリズムマシン、リンドラムの音色を模した潰れたようなハンドクラップ音が印象的なこの曲をプロデュースしたのはカニエ・ウェストの師匠であり、コモンやジェイ・Zとの仕事で知られているノーID。ベースを弾いているのは、ディアンジェロのバックバンドのリーダーでもあるピノ・パラディーノだ。

そう、『Sob Rock』のサウンドは決して懐古趣味ではなく、ヒップホップ〜R&Bが中心に居座る現在のミュージック・シーンでも有効に響くことを目的に周到に選ばれたものなのだ。果たしてメイヤーが選んだ答えは正解なのか。それはアルバムを聴いて確かめて欲しい。



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ジョン・メイヤー
『Sob Rock』
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・ジョン・メイヤー本人によるセルフ・ライナーノーツ封入 
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