オリジナルソング制作のスタートアップSongfinch、ザ・ウィークエンド等から資金調達

マネージャーのワシム・“サル”・スレイビーやアトランティック・レコードのCEOクレイグ・コールマンと共に、オリジナルソング制作サービスのSongfinchへ出資したザ・ウィークエンド(Photo by Scott Roth/Invision/AP)


2019年に15万ドル(約1650万円)だったSongfinchの収益は、2020年には145万ドル(約1億6000万円)に上昇した、とウィリアムソンは言う。2021年は最初の2四半期だけで既に225万ドル(約2億4800万円)を超えており、年間では500万ドル(約5億5000万円)を超えるペースだ。2020年にSongfinchがアーティストに支払った金額は150万ドル(約1億6000万円)以上で、急成長を続ける同社の財務状況はコロナ禍の経済に貢献している、とウィリアムソンは話す。さらに、顧客のリクエストに応じたオリジナルコンテンツを提供するというコンセプトをSongfinchが世に広めたことで、Cameoをはじめとする類似サービスの成長も促したという。

ストリーミングサービスはヒット作の権利を握る業界の一部のみを潤し、アーティストの大きな収入源であるツアーはパンデミックによって縮小を余儀なくされた。新たな収益モデルを求める音楽製作者やコンテンツクリエイターにとって、ファン参加型のサービスや付随するコンテンツビジネスは、ますます重要になってきている。セレブからオリジナルのグリーティングメッセージを受け取れるCameoは2020年にブレイクし、クリエイターへの支払いは7500万ドル(約82億6000万円)に上った。また、ブランドとの契約に誘われるアーティストも多い。さらに、ガイ・オセアリーが支援するTikTokのコラボレーション・マーケットプレイスPearpopは、2021年4月に1600万ドル(約17億6000万円)規模の投資ラウンドを成功させた。Pearpopは、コンテンツクリエイターがTikTok上のやり取りを売買できるオンラインマーケットだ。

「音楽業界のマーケットプレイス・モデルは全てトップダウンで構成されていて、5%のクリエイターがストリーミング収益全体の半分以上を独占している。ビッグネームでなければ、ストリーミングで稼ぐのは難しい」とウィリアムソンは指摘する。「Songfinchのユーザーは、人気のアーティスト目当てでサイトにアクセスするのではない。アーティストが制作するコンテンツが目的なのだ。細かいリスエストに応えられる優れたソングライターであれば、たとえSNSのフォロワー数が少なくても、Songfinchで大成功する可能性がある。この手のアーティストがSpotifyで100ドルを稼ごうと思ったら、2万3000の再生回数が必要になる。一方でSongfinchであれば、1曲で済む。UberやLyftのようなプラットフォームをアーティストに提供し、彼らがスタジオで好きな制作作業に没頭できるような環境を整えたいと考えている。」

Songfinchには数人の有名ヒットメーカーも参加しているが、オリジナルソングを提供するビジネスに必要なのはそれだけではない。SongloriousやDownwriteなど、類似のサービスを提供する企業もある。Soungfinch幹部によると、間もなく同サイトは全面リニューアルし、マーケットプレイス化をさらに推進する予定だという。楽曲制作アーティストのプロフィールを表記し、ユーザーが一方的にリクエストを入力するだけでなく、制作するアーティストを選択できるようなツールも提供する。

拡大と急成長を続けるオリジナルコンテンツ制作のマーケットでは、ユーザーの友人や家族にセレブからのオリジナルメッセージが届く類似サービスを提供する、Cameoやその他のスタートアップが鎬を削っている。ウィリアムソンは、セレブからのグリーティングメッセージという斬新さにひかれるユーザーの傾向を把握し、オリジナルソング制作のビジネスモデルには持続性がないことも認識している。さらに彼の言うようにSongfinchは斬新さよりも、楽曲を通じて深い感動を与えることを重視してきた。業界の有力者らによる支援が加わったことにより、ウィリアムソンの目指す新たなコンセプトや技術の実現に拍車がかかるだろう。ただし、一流パフォーマーがユーザーのリクエストに応えてオリジナルソングを作ってくれるのは、まだ少し先のことだろう。

Translated by Smokva Tokyo

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