拘置所で自殺したエプスタイン、「イスラエルのスパイ」説が浮上

左から、故ジェフリー・エプスタインとギレーヌ・マックスウェル。1995年6月14日、ニューヨークシティで行われたバットマンフォーエヴァー/Rマクドナルドのイベントにて。(Photo by Patrick McMullan/Getty Images)

未成年の少女らを性的人身取引したとして起訴された後、勾留中に自殺をはかって死亡した米富豪のジェフリー・エプスタイン。英ジャーナリストのヴィッキー・ワードが、ローリングストーン誌に新たな推論を寄せてくれた。

【画像を見る】所有する牧場で女性を妊娠させ、自分のDNAを拡散しようと計画していたエプスタイン

2002年、私がヴァニティ・フェア誌でジェフリー・エプスタインの資産について記事を書いたとき、彼の名前は世間一般に知られているわけではなかった。同じころ、私はマサチューセッツ州デベンズにあるデベンズ連邦医療センターを訪問し、受刑囚の1人スティーヴン・ホッフェンバーグと面会した。

私たちは娯楽エリア近くの小部屋に座っていた。ホッフェンバーグは支給のオレンジの囚人服。双子を身ごもって数カ月だった私は、刑務所の規則通り、できるだけ目立たない格好をしていた。

あれは実に興味深い面会だった。

ホッフェンバーグは4億5000万ドル相当のネズミ講詐欺で懲役18年の刑に服していた。80年代、彼は債権回収会社Towers Financial社を経営しており、エプスタインは会社の外部顧問として一緒に仕事をしていた。ホッフェンバーグの話では、エプスタインはTowers社を世界的大企業にする計画を抱いていたそうだ――ただし、違法な手段で。

だがホッフェンバーグはエプスタインと彼のアイデアにすっかり魅せられ、彼のオフィスの賃料まで肩代わりしていた(今では、あんなことをするなんて自分は「バカ」で強欲だった、と本人は言っている)。

ホッフェンバーグは悲しげな笑みを浮かべながら、自分はエプスタインのお荷物だった、と言った。一緒に仕事していた時、エプスタインは自分がいかに人々や組織をだましてのし上がってきたかを打ち明けた――しかも今度は、2人で詐欺を働く計画だったのだ。

ホッフェンバーグの話では、エプスタインは完全な詐欺行為に特別な呼び名をつけていた。彼はそれを「playing the box」と呼んでいた。つまり万が一犯罪がばれても、被害者が社会的屈辱を受けるか、あるいは巻き上げた金が絶対に手の届かない場所に隠してあったため、どうすることもできない仕組みになっていたのだ。

まさかエプスタインが自分をだますだろうとは思いもしなかった、Towersから1億万ドルを巻き上げて海外口座に移し、その一方で連邦検事に協力して自分を売るなんて、とホッフェンバーグは私に語った。ホッフェンバーグに打つ手はなかった。彼は有罪を認めたため、裁判は行われなかった――したがって真相は闇の中だ。

ホッフェンバーグの主張をすべて証明することはできない――だが、話の一部は正しい。

Translated by Akiko Kato

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