絶対に聴き逃したくない「偉大なソング6曲」 2021年4月~6月期リリース編

ラナ・デル・レイ(Photo by Mat Hayward/Getty Images)

音楽メディアThe Sign Magazineが監修し、海外のポップミュージックの「今」を伝える、Rolling Stone Japanの人気連載企画POP RULES THE WORLD。ここにお届けするのは、2021年3月25日発売号の誌面に掲載された2021年2ndクォーターを象徴するソング6選の記事。

2020年初頭に世界がパンデミックに見舞われたせいで、どこか歴史がねじれたような期間が続く中、この6曲は2010年代の残り香と、2020年代になって生まれた新たな萌芽と変化がゆっくりと混じり合い、新たな光景を浮き上がらせている「今」を体現している。BTS、リル・ナズ・X、キッド・ラロイ、ラナ・デル・レイ、ビリー・アイリッシュ、ドージャ・キャット――今聴くべき6曲を紹介しよう。

1. BTS / Butter


2ndクォーターMVPソングがこの曲だという事実に異を唱える者はいないだろう。bpm110のディスコポップという形式に取り立てて新しさはない。敢えてネガティヴに言えば、サウンド的には「Dynamite」のヴァージョン2でしかないとも言える。だが、北米発のトラップとダンスホールが世界中のポップ音楽のビートの進化とジャンル融合をもたらした「変化のディケイド」だった2010年代の後に訪れた、2020年代前半という「ポストジャンルの時代」における最大の共通項をこの曲は的確に射抜いている。何よりもリリックが完璧だ。しなやかに強かに、出会う者すべてをその魅力で虜にしてしまうBTSという存在のメタファーとしての「バター」という言葉を見出した時点で、未曾有の成功は約束されていたと言っていい。彼らBTSはもはやK-POPという枕詞を必要としないグローバルポップの覇者。これから先の2020年代半ばのポップ音楽を語る/生きる/考える/楽しむ上で、今BTS以上の存在を思い浮かべることは難しい。もはや彼らが世界の中心なのだ。


2. Lil Nas X / Montero (Call Me By Your Name)


自らのファーストネームを冠したタイトル。サブタイトルは北イタリアの避暑地を舞台に少年と青年のひと夏の恋を描いた同名のルカ・グァダニーノ2017年の映画を示唆する。オンライン上でみつけ、そこにカントリーのテイストを見出し、たった30ドルで買ったビートを使った2019年を代表するメガヒット「Old Town Road」とは違い、ダンスホールレゲエとフラメンコの中間に位置するこの曲のビートは、メジャー契約後に信頼を固めた鉄壁の布陣によって磐石。本人もディレクションに加わり、同性愛を禁忌として位置付ける聖書からの引用で溢れたMVは、30数年来、信仰と罪というテーマを執拗なまでに描き続けるニック・ケイヴという異端の存在をも想起する鋭利な批評性と、MCU映画以降のどこか馬鹿げたSFスペクタクルタッチの壮大さが同居した、まさに2021年の表現。ソーシャルメディアがすべての中心となった時代を知り尽くしたメディアパーソナリティという肩書きさえももはや過去。一発屋どころか、新時代の総合作家という称号こそが現在の彼には相応しい。

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